2010年問題 脂質異常症

ノルバスク+リピトール=カデュエット その3

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ノルバスク+リピトール=カデュエット その3

これまでの2記事でカデュエットを論じてきた。カデュエット特集第3弾として、アトルバスタチン投与による冠動脈疾患発症率やイベント再発低下についてこれまで報告されている内容をまとめてみた。

アトルバスタチン10mg投与による高血圧や糖尿病など他の危険因子合併例での一次および二次予防効果が実証され1),さらに急性冠症候群発症直後できるだけ早期に治療を開始した場合の早期イベント率の低下がみられることも示されている2).

安定型冠疾患例に対してさらに低いLDL-C値(70mg/dl程度)を目標にした場合のメリットも明らかにされた3).

大規模臨床試験には含まれないが,冠動脈形成術が推奨される比較的軽度の冠動脈狭窄病変を有する症例に対してアトルバスタチンで強力に血清コレステロール値を低下させた群と従来の脂質低下療法を行った上で冠形成術を行った群でのイベント再発率を比較したAVERT試験では冠形成術施行群よりも積極的脂質低下群でイベントの減少がみられた4).このことで積極的LDL低下療法が病変形成予防にとどまらず血管壁の性状に影響を与えプラークの安定化5)をもたらすことが推察された.

アトルバスタチンは,冠動脈疾患患者の尿酸値を有意に減少させた6) .

心筋梗塞既往患者において,アトルバスタチンによる積極的脂質低下療法は従来の脂質低下療法(シンバスタチン群)に比べ, 心不全による入院リスクを26%減少させた. ベースライン時の心不全の既往がある群,ない群ともに心不全による入院リスクをわずかに減少させた.試験期間中の心筋梗塞再発に心不全が先行しない群では,心不全の入院リスクを有意に減少させた7).

冠動脈バイパス術 (CABG) 予定の患者において,術前7日間のアトルバスタチン投与ならびに術後の継続投与は,術後の心房細動発生率を有意に低下させた8).

アトルバスタチンの治療効果を頸動脈狭窄の有無で比較した研究では, 主要心血管イベントに対するアトルバスタチンによる治療効果は頸動脈狭窄のある群でより大きかった.頸動脈狭窄のある群においてアトルバスタチンは全脳卒中,主要冠動脈イベント,頸動脈血行再建術のリスクを低下させた.冠動脈疾患の既往歴のない脳卒中または一過性脳虚血発作患者において,アトルバスタチンは頸動脈狭窄の有無にかかわらず脳・心血管イベントリスクを低下させたが,頸動脈狭窄のある患者においてその効果はより大きい可能性が示唆された9) .

頸動脈アテローム硬化症の患者において,アトルバスタチン80mgを投与したところ,プラーク炎症を有意に抑制した10).

冠動脈疾患患者に対するアトルバスタチンの投与により,プラークの色調グレードは有意に減少し,プラーク容積も有意に減少した11).

経皮的冠動脈形成術 (PCI) を施行した急性冠症候群患者において,アトルバスタチン80mgによる積極的脂質低下療法は,プラバスタチン40mgによる標準的脂質低下療法に比べ,総死亡あるいは主要心血管イベントの相対リスクを22%低下させた12).

わが国で認められている最大用量は通常で20mg,家族性高コレステロール血症で40mgであるが,通常10mgでかなりの効果が期待できる1).

日本人では欧米人に対する約半分の用量で同様のLDL低下効果が得られており,その臨床的効果には人種差があると考えられている.

現在わが国の平均寿命は世界的に長く,虚血性心疾患の頻度が比較的低いが,食生活の欧米化が進み,肥満や糖尿病の頻度が増す潮流は変えられそうにない.今後増加が予想される虚血性心疾患を減らすためにはLDL-C値のみならず血圧や血糖も含めたマルチプル・リスクファクターの包括的管理が欠かせない.複数の薬剤を内服する患者の増加が予想されるが,内服錠数の増加は患者の物理的負担となるのみならず,内服コンプライアンス低下のリスクも高める.この点,ファイザー株式会社のカデュエット配合錠(アトルバスタチンに加え,カルシウム拮抗薬のアムロジピンを配合)のように1剤で複数のリスクファクターを管理できる配合錠が登場したのは喜ばしいことといえる.船橋市の糖尿病患者に対する貢献は大きい。

1) Mackness MI,et al:Primary prevention of cardiovascular disease with atorvastatin in type 2 diabetes in the Collaborative Atorvastatin Diabetes Study (CARDS): multicentre randomised placebo-controlled trial. Lancet. 2004 Aug 21-27;364(9435):685-96.
2) Schwartz GG et.al:Efects of atorvastatin on early recurrent ischemic events in acute coronary syndromes: the MIRACL study: a randomized controlled trial.JAMA. 2001 Apr 4;285(13):1711-8.
3) John C. LaRosa et al for the treating to new targets (TNT) investigators: Intensive lipid lowering with atorvastatin in patients with stable coronary disease. N Engl J Med. 2005; 352: 1425-35.
4) Pitt B, et al.Aggressive lipid lowering therapy compared with angioplasty in stable coronary artery disease. N Engl J Med 1999;341:70-6.
5) Libby, P., Schoenbeck, U., Mach, F. et al.: Current concepts in cardiovascular pathology : the role of LDL cholesterol in plaque rupture and stabilization. Am J Med 104 (2A) : 14S-18S,1998
6) Athyros VG et al: : How Low Should We Go with Cholesterol Lowering? .Am J Kidney Dis 43 : 589-599, 2004
7) Strandberg TE, Holme I, Faergeman O, Kastelein JJ, Lindahl C, Larsen ML, Olsson AG, Pedersen TR, Tikkanen MJ:Comparative effect of atorvastatin (80 mg) versus simvastatin (20 to 40 mg) in preventing hospitalizations for heart failure in patients with previous myocardial infarction .Am.J.Cardiol. 2009, 103:1381-1385.
8) Ji Q, Mei Y, Wang X, et al. Effect of preoperative atorvastatin therapy on atrial fibrillation following off-pump coronary artery bypass grafting Circ J 2009;73:2244-2249.
9) Sillesen H et al: Atorvastatin Reduces the Risk of Cardiovascular Events in Patients With Carotid Atherosclerosis: A Secondary Analysis of the Stroke Prevention byAggressive Reduction in Cholesterol Levels (SPARCL) Trial Stroke 39: 3297-3302, 2008.
10) Tang TY et al. : The ATHEROMA (Atorvastatin Therapy: Effects on Reduction of Macrophage Activity) Study Evaluation Using Ultrasmall Superparamagnetic Iron Oxide-Enhanced Magnetic Resonance Imaging in Carotid Disease J Am Coll Cardiol 53: 2039-2050, 2009.
11) Hirayama A et al. : Qualitative and quantitative changes in coronary plaque associated with atorvastatin therapy. Circ J 73: 718-725, 2009.
12) Gibson CM et al: Effect of Intensive Statin Therapy on Clinical Outcomes Among Patients Undergoing Percutaneous Coronary Intervention for Acute Coronary SyndromePCI-PROVE IT: A PROVE IT–TIMI 22 (Pravastatin or Atorvastatin Evaluation and Infection Therapy–Thrombolysis In Myocardial Infarction 22) Substudy .J Am Coll Cardiol 54: 2290-2295, 2009.

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