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TPPで我が国の皆保険に形骸化の懸念あり

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日本がTPP交渉参加することが決まりました。国民皆保険制度は残るでしょう。
しかし、実質的に骨抜きになっていくでしょう。

製薬会社は薬を高く売りたいので、まず出てくるのは小池晃氏の指摘する「医薬品や医療機器の価格規制の撤廃・緩和要求」でしょう。薬価高騰は必至です。そうなってくると、皆保険は維持されても「保険外併用療養費制度」の利用で形骸化できます。

折しも日本郵政とAFLACの提携が決まり、日本郵政が日本生命と組んで独自にがん保険を売る計画はご破算になりました。AFLACは日本のがん保険市場の実に75%を住めるガリバーです。日本郵政は既に約1,000の郵便局でアフラックの商品を扱っているのですが、今秋から順次取り扱いを広げ、簡易郵便局を除く全国約20,000の郵便局と、約80のかんぽ生命保険直営店でアフラックの商品を販売する計画です。

これを待っていたかのように、日本政府は2013年秋を目処に、まず抗がん剤から混合診療の適用範囲を拡大していくことを決めています。これを突破口に混合診療の全面解禁に向かって進んでいきそうです。

この人に聞く:山形大医学部・村上正泰教授◇TPP、医療への影響は 皆保険形骸化も
毎日新聞 2013年07月28日 地方版

◇TPP、医療への影響は 皆保険形骸化も??村上正泰教授(38)
環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の交渉会合に正式に参加した日本。政府が「聖域」というコメの関税の行方などが注目されるが、医療分野にはどのような影響があるのか。薬価抑制など多くの規制の下に成り立つ国民皆保険制度はどうなるのか。山形大医学部医療政策学講座の村上正泰教授(38)に聞いた。【前田洋平】

??TPP交渉参加国の医療分野への対応は。
製薬会社にとって、医療は確実にもうかる産業です。自動車ならば、よほど高ければ諦められますが、医療は絶対に必要です。日本は高齢化で医療費が増え続けています。各国がこの「市場」にどう入り込むかを考えるのは当然です。

??安倍晋三首相は「国民皆保険制度は断固として守る」と言っていますが、TPP参加でどのような影響がありますか。
医薬品や医療機器の価格決定の仕組みの見直しや、薬の開発にも関係する知的財産権のあり方の見直しを迫られる可能性があります。そうなれば、国民誰もが公的医療保険制度に加入する「皆保険制度」が形骸化し、所得次第で受けられる医療に格差が生じます。

??米国はTPPの交渉参加国に医療分野での価格決定について要求を出しています。
日本は、皆保険制度を維持するために政府主導で薬や医療機器の価格を抑える規制をかけています。抑制しないと財政が圧迫されるからです。
一方、米国は薬などをできるだけ高額で販売したいと考えています。米国にとって、政府主導で価格を抑制している日本の政策は「不透明で不公平」なものでしょう。実際、米通商代表部(USTR)が2011年に公表した「医薬品へのアクセス拡大のためのTPP貿易目標」では「透明性と手続きの公平性の強化」が明記され、規制緩和を強く求めています。

??TPPを機に、医療制度について改めて考え直す必要がありますね。
TPP参加で規制がなくなり、薬の価格が高くなれば、製薬会社はもうかります。新薬開発への弾みにもなるかもしれません。
しかし、今まで通りの割合を公的保険で賄うことは難しくなってきます。政府が力を注ぐ「医療費抑制」と反対の現象が生じるわけです。

??医療費が更に増えると何が起きますか。
公的保険の給付範囲を狭めようという議論に拍車がかかります。保険診療と自由診療の医療を併用する混合診療の全面解禁も、この考え方に基づくものです。公的保険の縮小は、TPPで日本の市場に参入を狙っている海外の民間保険会社からすれば、売り上げを拡大できるチャンスです。私たちにとっては、皆保険制度がほとんど意味をなさないのと同じことになります。

??TPPの医療分野での交渉の難しさは。
例えば、薬価に関して「公平性を担保して……」などと書かれていても、後々どのような効果、弊害を生み出すか判断するのは難しいでしょう。限られた時間の中で、膨大な資料を前に見落とすかもしれません。知的財産権の制度のあり方については、分かりづらく、締結した後でじわじわと効いてくるかもしれません。
細かい文言や日本の医療政策の大きな道筋についての議論を深めることが大切ですが、残念ながら、その時間はなさそうです。

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■人物略歴
◇むらかみ・まさやす
1974年広島県生まれ。山形大医療政策学講座教授。97年大蔵省(現財務省)入省。06年に退官し、10年より現職。厚生労働省に出向中、医療制度改革に携わった。著書に「医療崩壊の真犯人」「高齢者医療難民」(ともにPHP新書)など。「TPP黒い条約」(中野剛志編、集英社新書)では医療分野を担当した。

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