医療費膨張 糖尿病内科

7対1等の特定除外制度見直しは今年10月1日の施行

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看護師争奪戦が起きた原因となった、7対1病床ですが、今回の診療報酬改定で大きなメスが入れられています。7対1とは「患者7人に看護師1人」を置く病床です。看護師の配置が手厚い分、基本の入院費は1日15,560円と最高額に設定されてきました。15対1(9,450円)の1.5倍以上となっています。

しかも、この7対1には特例があります。通常入院が90日を超すと入院費は下げられ、病院の収入は減ってしまいますが、7対1には難病などの患者なら90日超でも入院費を下げない特例が設けられてきました。しかし、その7対1等の特定除外制度が今年10月1日から見直されてしまいます。

政府は7対1病床を2015年度までに25%(9万床)程度削減することを目指します。7対1をやめる病院が増えて、看護師争奪戦は一息つきそうです。7対1バブルに乗ってきた看護師紹介業は反動減でこれから大変でしょうが、急性期病床をやめて転職する看護師が増えれば行って来いでダブルで稼げるのかもしれません。

くらしをひらく:朝令暮改の病床再編
毎日新聞 2014年03月16日

 国は費用がかさむ重症患者向け入院ベッドの削減に乗り出す。医療の軸足を入院から在宅にシフトし、膨らむ一方の医療費を抑える狙いがある。ただ、国の病院政策は変転を繰り返してきた。振り回されるのは常に医療現場と患者だ。【中島和哉、佐藤丈一】

 ◆療養病床
 ◇削減で行き場なく
 埼玉県加須市の福島病院。3階の20室ほどの薄暗い病室には使われていないベッドが並ぶ。昨年11月に閉鎖された「療養病床」(54床)だ。糖尿病で1年前から3階に入院していた女性(85)は病状が安定しているにもかかわらず、閉鎖と同時に本来はもっと重症の人が入る2階の一般病床(45床)へ移った。
 自宅に帰ろうにも1階は夫が商売に使い、生活空間は2階だけ。階段が不安だった。療養病床にいた患者のうち数十人は介護施設などに移ったが、女性ら行き場のない10人は福島病院を頼るしかなかった。
 介護保険が始まった2000年度、厚生労働省は一般病床より患者1人当たりの面積が広い療養病床を制度化した。介護保険で賄う「介護型」と医療保険の「医療型」の二つがあるものの、実態に差はない。慢性病で長期入院する高齢者向けに、治療よりは「質の高い入院生活」をうたった。
 とはいえ、目的は医療費の抑制だ。「高度な医療は不要」と、一般病床より少人数のスタッフで済むようにした。厚労省は「今より少ない医師と看護師で運営できる」と病院を後押し。福島病院も間もなく数千万円を借りて改装し、医療型を取り入れた。
 ところが、全国で療養病床が38万床(介護型13万床、医療型25万床)に増え医療費を圧迫し始めると、厚労省は手のひらを返す。国や医療保険などから支払われる入院費を3割以上削り、06年には介護型を全廃、医療型は15万床まで減らす方針を示した。福島病院も療養病床分の収入が激減し、赤字が拡大した。看護師らを10人減らした揚げ句、結局は療養病床の閉鎖に追い込まれた。福島祐一院長(58)は「患者の行き先も整備せず、削減ありきだ」と国への憤りを隠さない。

 ◆7対1病床
 ◇一転患者絞り込み
 患者の自己負担を除く医療費(12年度35兆円)は、団塊世代が75歳以上となる25年に54兆円へ達すると推計される。抑制に躍起の厚労省は療養病床に続き、ベッド規制で朝令暮改を重ねようとしている。06年度に導入した重症患者向け「7対1病床」(約36万床)を、公的医療費の配分を決める14年度の診療報酬改定で25%減らす方針に転じた。
 7対1とは「患者7人に看護師1人」を置く病院。看護師の配置が最も手厚い分、基本の入院費は1日1万5660円と最高額に設定されている。15対1(9450円)の1・5倍以上だ。そもそもは高度な医療と集中看護で入院日数を縮め、医療費を抑える狙いがあった。しかし、増収をあて込んだ多くの病院が7対1病床に飛びつき、初年度4万床だった数は9倍に膨らんだ。病院間で看護師の争奪戦が起き、看護師不足まで招いた。病院は増えたベッドを埋めるために軽症患者も抱え、ムダな医療費を積み上げた。
 通常、入院が90日を超すと入院費は下げられ、病院の収入は減る。しかし、7対1には難病などの患者なら90日超でも入院費を下げない特例がある。このため厚労省は10月から特例を廃止し、病院に患者を退院させるよう仕向ける。
 ただし、思惑通り進むかは未知数だ。2月末にあった山口県内の病院の事務長会議では、「7対1で大量に雇った看護婦のクビは切れない」といった指摘が相次いだという。病院関係者の間では「現場に混乱を招く」と、7対1削減の実現性を疑問視する声も多い。

 ◆在宅医療

 ◇「受け皿」広がらず
 「だいぶ落ち着いてきたね。夜は眠れているかな」。3月上旬の午後、埼玉県所沢市の「みずの内科クリニック」の水野康司院長(60)は市内の男性(80)宅を訪れ、座椅子に座る男性の胸に聴診器を当てた。
 男性は呼吸器疾患で呼吸困難となり、県内の大学病院に5日ほど入院後、2月半ばに退院した。妻は入院中で再び1人暮らしとなったが、同クリニックは「24時間対応」を掲げる。水野院長の週1度の往診に加え、週に2度の訪問看護も受ける。長男(54)と交代で泊まり込む長女(58)も「本当に心強い」と言う。
 日本の年間死亡者は約120万人。その8割は病院で死ぬ。20年後は高齢化で死者数が160万人台に届くとみられ、お年寄りを病院でみとることは難しくなる。医療費抑制にもつながるとして、国は在宅医療推進の旗を振ってきた。7対1を優遇する傍ら、他の病床は減らし、軽症患者を自宅へ帰そうというのがその中心だった。だが、水野院長のような医師は少なく、国の政策は患者の行き場を狭めた。そこで14年度から、病状が回復し自宅へ戻る手前の患者を受け入れる病院を優遇する。早期退院に向けたリハビリを重視することなどを条件に、入院費を高くした「地域包括ケア病棟」の新設が柱。病院も活用する在宅路線への修正だ。
 東京都大田区の大森山王病院(60床)。戸金隆三院長(63)はスタッフに「生き残る道は在宅医療しかない」とハッパをかける。近隣の30近い競合病院を横目に7対1には見切りをつけ、地域包括ケア病棟への移行を視野に入れる。しかし、戸金院長は「ハードルは高い」と明かす。移行には専従リハビリスタッフの配置が必要になる。退院患者のうち他の病院に転院せず自宅に戻った人が7割以上といった条件も課される。
 地域包括ケア病棟も広がりが見通せず、重症病床を退院する人の受け皿が増えない中、厚労省は一転して介護型の療養病床全廃方針を撤回する意向だ。依然、入院ベッドを巡る政策の揺れは続く。

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