GLP-1

GLP-1受容体作動薬やSGLT2阻害薬は正の行動変容を起こす

05/07/2015

2型糖尿病に対して強化インスリン療法を使用していたが,過食がひどく食事療法の徹底ができない症例によく遭遇する。

過食と肥満

過食と肥満

過食と肥満を抑制することが肝要

しかしながら、腎症の進行があるとカロリー制限もままならない。糖尿病患者さんにはそのような方は少なくない。否、日本全国にこのような2型糖尿病患者さんは多いだろう。多くの糖尿病専門医の頭を悩ませている問題である。

従来、教育入院といえば強化インスリン療法が主流であった。内因性インスリン分泌能が保たれている症例であればインスリンの漸増で正常血糖に到達し、間もなく糖毒性の解除によってインスリン抵抗性が改善し、血糖低下傾向となりインスリンを漸減できる。こうしてインスリンを減量もしくは中止して退院できれば、退院後にインスリンによって亢進した食欲と闘う局面を減らせる。

しかし、DPC病院では教育入院できる期間が短く、せいぜい正常血糖に到達した時点で退院になってしまい、インスリンが相対的に過剰なままだと退院後に低血糖リスクが上昇し、かつ過食を招き、血糖悪化・インスリン投与量増加の悪循環を招く。

基礎インスリンとGLP-1受容体作動薬の併用は低血糖が少なく体増加のリスクも抑制できる利点がある。

SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬との併用のエビデンスは未だ得られていないが、入院して注意深く観察しながら行えば安全に実施できる。

SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬との併用は糖毒性の早期解除・入院期間中の効果的な減量を実現するための有力な選択肢になりうると考えられる。

実際に目に見えて減量できると患者が自信を持ち、積極的に治療に取り組んでくれるようになる。このように、GLP-1受容体作動薬やSGLT2阻害薬は正の行動変容を起こすポテンシャルを持っている。

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