栗林誠一郎さんの「もう少し あと少し・・・」
Barbierとして1995-1996年頃に活動していた。
当時の私は大学生で、夜、車を運転していたらラジオ番組で「Barbier」という新しいアーティストの紹介が始まったのを覚えている。何だろうと思っていたら、流れて来たのは栗林誠一郎さんの声だった。楽曲は「クリスマス タイム」だったと思う。
「ああ、栗林さんが新しいユニットをやるのか。」
と思った。英語詞が多いのは栗林誠一郎さんのソロアルバムと同じだが、大島康佑さんアレンジの16ビート曲は皆無であった。DIMENSIONが参加していないのも珍しい。
Barbierとはフランスの画家、George Barbier(1882-1932)のことである。栗林さんのBarbierのクレジットは、Barbierにインスパイアされた歌手という設定のようだ。
Barbier first(1stアルバム)に収録されたカバー曲
10曲中7曲がカバー曲である。PAMELAHの小澤正澄さん、葉山たけしさんなどがギターで参加している。
もちろん、オリジナルは大好きである。歌唱は彼女の歌唱のなかで一番好きかも知れない。透明感があって、憂いがあって。
それが、栗林誠一郎さんの声を載せて、アレンジを変えると完全にAORになる。AMYさんの英詞が滑らかにメロディに乗っていて、これまた心地よい。
1番の主語はSheで、第三者の視点で描写している。原曲に忠実に、Sheは男性との距離の取り方に苦しむ女性である。
2番は主語がIになる。栗林誠一郎さんの世界に一貫してみられる、失恋して傷心の男性のIになっている。
固有名詞は出ないが、wanderin’ through the city lights のlightsは神戸の街明かりだろう。それに続く
Shinin’ bright like your eyes, once filled with hope and hapiness
の一節が好きだ。これは原典にはない描写で、普遍性がある。また、「あなたの生まれた家を見てきました・・・」からの一節は、ややエキセントリックな描写で、論評するのは控えたいが、この部分を削ったのは正しい判断だろう。2番が男性視点になっているのも影響していると考えられる。