彼方に浮かぶ月 松元治郎さんのアルバム「Reverb」
2012年10月12日発売、2000年のWANDS解体から10年以上経って待望の音源をリリースした松元さん。
発売前から、上記のDemoがYou tubeでアップされ、リリース前から非常に期待していた。
安保さんのブログをこまめにチェックし、予約して購入した(現在 SOLD OUT)。
予約特典として、松元氏の写真および直筆のメッセージ・カードが同封された。直筆のメッセージには、購入者ひとりひとりの名前が入っていた。
私もいただいた。ファンの心をつかむきめ細やかなサービスだ。
Brand New Love を作曲された、綿貫正顕さんの美しいメロディ。
WANDS時代以上に尖った安保一生さんのギター。当時とはだいぶ弾き方も変わっている印象だ。
そして、松元氏のハイトーンボイス。
これはまさしくWANDSだった。
それもそのはず、第3期にレコーディングを途中まで行っていたものの、「解体」によってお蔵入りになっていた楽曲である。今回、アルバムリリースに際して安保氏から綿貫氏に相談したところ「まさかの提供OK」で、世に出ることになった。途中までレコーディングしていたことから、相当程度のアレンジはされていたものと推察するが、今回安保氏が改めてアレンジしなおしている。ドラムスは打ち込みだと思うが、前世紀のWANDS時代とは格段に進化しており、生ドラムっぽい感じを醸し出している。特に間奏のギターソロが終わって、「どんな~」とアカペラが入るあたり。Aメロの終わり、「そばにいる~」のところには2拍目のクラッシュシンバルが入っている。生ではないからか、ちょっと伸びないが。間奏のギターソロはゆったりした、夜空、宇宙を思い描くような雄大なイメージである。demoでも聴けるが、Bメロの始まるところからのギタープレイ、アレンジは素晴らしいものがある。全体的に安保さんのギターがこれでもか、というくらい頑張っており、とてもカッコいい仕上がりである。
歌詞は松元氏が亡くなった友人に向けて書いたものである。
全アルバムを通じて思うことであるが、1997年に急遽WANDSの2代目ボーカルとしてデビューした松元氏の当時の(1997-1999)作詞能力は高いものではなかった。上杉昇の突出した作詞能力とどうしても比較されてしまうので可哀想ではあるのだが。しかし、この10年以上の月日を経て成長した松元氏の歌詞は素晴らしかった。期待以上であった。40代となった今だから書けたのであろう。
どんな道を選んでも振り向かずに強くあれ
その生き方が何の意味もなくなる
誰にも癒せぬ傷を また隠して生きてゆく
後戻りはない
彼方に浮かぶ月が今 心を照らしてる
ジャニーズJr.から運転手などを経てWANDSの2代目ボーカルに抜擢。しかし3年を経ず2000年WANDS解体、2004年には次の事務所との契約も切れ、バーのマスターをしながら時間をかけて楽曲を作り続けてきた松元氏の人生が感じられる。何度聴いても心を打たれる歌詞である。
WANDS時代にレコーディングしたときは「作家さんの書いた仮歌詞」がついていたということだが・・・作曲時期、当時の分業体制などからして、その作家さんというのはBrand New Loveと同じ方なのではないかと想像してしまうが、正式な情報はないので何とも。
リリースから3年が経とうとしているが、お気に入りの一曲である。