ビデュリオンの良い適応とは

26/06/2015

週1回型 GLP-1受容体作動薬の良い適応とは

肥満2型糖尿病の治療では食事療法・運動療法による減量が基本となるが, とりわけ高齢者においては生活習慣の改善が徹底できない患者も多い.その結果,高血糖が改善せずインスリン分泌能が保たれているにもかかわらずインスリンを導入せざるを得ないケースも少なくない.

肥満2型糖尿病患者へのインスリンの使用は食欲を亢進させ,肥満を悪化させ,さらに血糖値が悪化する悪循環を招きやすい.高齢の肥満2型糖尿病患者の治療は上記のようにしばしば難渋し,重要な課題のひとつとなっている.

GLP-1受容体作動薬が登場したことで,高齢者に対して(強化インスリン療法と比べて)低血糖リスクを増大させずに過食と体重増加を抑えながら治療できるようになった.

例えば,内因性インスリン分泌が保たれている例ならば,入院後リラグルチドを使用することで容易に食事療法が遵守でき,血糖コントロールが改善する.しかし,高齢者のもうひとつの問題である自己注射ができないという問題に直面することになることもしばしばある.加えて家族の協力も得られず毎日投与するタイプのGLP-1受容体作動薬は退院後に継続できなくなってしまうことがままあるのである.そのような場合は,週一回外来通院してビデュリオン®を打っていただくこともご検討いただきたいのである.

そのようなケースはWeekly GLP-1受容体作動薬の良い適応であると考えられる糖尿病患者さん,とりわけご高齢の方,独居の方,認知症のある方などにはそのような週1回型のGLP-1受容体作動薬が良い適応になるだろう.アストラゼネカのビデュリオン®(エキセナチド徐放剤)に加え日本イーライリリーのトルリシティ(デュラグルチド)が間もなく登場する.糖尿病患者さんの選択肢が増えることは良いことだ.

Exenatide LAR ( Long-Acting Release ) という名前で知られていたビデュリオン

BYDUREON®は、BY(=Byetta) DUR (=Duration) EON(=後期ラテン語で永遠の意) 永遠に作用が持続するバイエッタ、そんな意味の込められた名前である.

エキセナチド生分解性のd,l-ラクチド・グリコリド共重合体(50:50) (PLG)のマイクロスフェア内に包埋することにより,エキセナチドを1日2回皮下注射するのと同等な効果を示すように設計された徐放剤なのである.それゆえ、針が23G以下にはできない(詰まってしまう).混和にもコツがあって,視力低下があったり手に運動障害があると難しい.ペンになっていくらか改善されるだろうが,針が太いという訴えは多い.また,マイクロスフェアのせいか,皮下注後数週間残る硬結(しこり)を気にする糖尿病患者さんも多い.デバイスがペンになることで,少しでも手間が減って糖尿病患者さんの治療に貢献できるようになると良い.下図に示すように、2015年5月にビデュリオンの新しいデバイス、ビデュリオンペンがリリースされた。バイアル式のビデュリオンはシリンジ・注射針・バイアルコネクター・バイアルがセットになっており、患者が自ら組み立てて混和までしなければならなかった。それを大きく改善したのがビデュリオンペンである。冷蔵庫からペンを取り出し、室温で15分おいておく。まず注射針を装着し、ペンをネジ式に時計回りに回し、緑色のラベルが見えなくなるまで回す。その後80回タップするだけで良い。CM2本分の時間、タップすれば良い。あとは注射するだけ。10秒間押しこむ。ずいぶん改善された。



Duraglutideは,2 型糖尿病の日本人患者を対象にした試験結果がADA75にて発表された.dulaglutide 0.75 mg の週 1 回投与はリラグルチド 0.9 mg の 1 日 1 回投与に比べ,投与後 52 週時の HbA1c を統計学的に有意差をもって低下させた.同様にベースラインからの食後の平均血糖値を統計学的な有意差をもって低下させた.こちらも、糖尿病治療に大いに貢献するに違いない。

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