GLP-1

ビデュリオン | エキセナチド徐放製剤 の最終治験開始

04/10/2009

GLP-1受容体作動薬であるエキセナチド

ビデュリオンペン

ビデュリオンペン

1日2回皮下注するGLP-1受容体作動薬であるエキセナチドについて触れたが、1日2回注射が必要である点がネックであった。イーライリリーは、週1回投与で済む長時間作用型の治験を国内で始める模様だ。イーライリリーのエキセナチドの国内売上はまだ伸びていない。週1回投与ならば実用性がグッと高まる。期待したい。

エキセナチドLAR long acting release

エキセナチドLAR long acting releaseとして知られるこの薬剤。アミリン社、イーライリリー社が共同で開発する。成分はエキセナチドであるが、特殊な加工で徐放性を獲得させているのである。エキセナチドはトカゲの一種(Heloderma suspectum)の唾液から単離された39個のアミノ酸から構成されるペプチドExendin-4と同じアミノ酸配列を有する化合物で、グルカゴン様ペプチドー1 (GLP-1 :glucagonlike peptide-1)の主成分であるGLP-1(7-36)amideの対応部分のアミノ酸配列において53%の相同性を示す。全てはアメリカドクトカゲ Gila monster から始まった。体長が約50 cmのトカゲである。その唾液腺から半減期の極めて長い GLP-1 ( exendin-4 ) が発見されたのはご存知の通りである。ヒトの内因性GLP-1 は半減期2分弱とすぐにdegradationが起きてしまう。このdegradationをブロックして内因性GLP-1とGIPを長持ちさせるのがDPP-4阻害薬である。アメリカ毒蜥蜴から抽出されたexendin-4 を基に開発された薬剤こそがエキセナチド exenatideである。半減期は1.6時間と長く、1日2回の投与で薬効が得られるようになった。これがバイエッタである。現在開発中の Exenatide LAR ( Long-Acting Release ) という除放剤は週一回の投与で済む。紆余曲折を経て、

Exenatide LAR は2013年にアストラゼネカ・ブリストルマイヤーズ・スクイブから「ビデュリオン」として発売された

2008年のDruckerの報告( Lancet ) によれば、バイエッタよりもビデュリオンの方が血糖制御の成績が良かった。
実際にやってみると痛感するところだが、毎日2回注射するのはなかなか大変である。の糖尿病患者さんにどれだけ貢献できるか。コンプライアンスの悪い症例ではコントロール不良になる可能性が高いだろう。しかし、週1回となれば話は別である。逆に、本人が打てない認知症の患者、麻痺のある患者などに家族が代わりに打ってあげる、訪問看護師が打ってあげる、往診医が打ってあげるなど様々な利用法が考えられるようになるのである。もっとも、内因性インスリン分泌が保たれていない症例は無理だろう。このような使用にあたっては、血中Cペプチドを測るなど事前にインスリン分泌能の評価をしてインスリン依存状態ではないことを確認しておかねばならない。
船橋市でもエキセナチドLARを有効に使うことで、週1回の注射で良好なコントロールが得られる糖尿病患者さんが増えることを期待したい。週一回型GLP-1受容体作動薬が船橋市の糖尿病診療を変える。

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