スタチン以外の脂質異常症治療薬1 ニコチン酸
副作用出現などの理由でスタチンを使えない脂質異常症患者に処方する別の選択肢としてニコチン酸製剤がある。代表的なものがユベラN(エーザイ)である。わが国ではニコチン酸誘導体であるニセリトロール,ニコモール,トコフェロールなどが使用されている.肝におけるVLDL合成低下が主な作用であり,Ⅱb型の高脂血症患者が適応となる.コレステロール低下作用はそれほど強くないが,ユニークな作用として動脈硬化促進因子と考えられるLp(a)の低下作用が報告されており高Lp(a)血症に選択的に利用できる.耐糖能悪化,消化性潰瘍の活動化,尿酸上昇などに注意する.顔面紅潮もあるがアスピリンとの併用で抑制されるので動脈硬化予防の面からも勧められる.強いLDL-C低下作用を持つスタチンと,中性脂肪を低下させHDLを上昇させるニコチン酸の併用療法は,スタチン単独療法でLDL-Cがガイドラインの目標値に到達しない例や高TG血症を合併した例に非常に有効である.冠動脈疾患の予防についても効果が認められている1).
副作用としてはニコチン酸の末梢血管拡張作用による顔面紅潮がある。一過性のものがほとんどであるが、少量から開始することで軽減できる。
1)Davignon,J.et.al:Comparative efficacy and safety of pravastatin,nicotic acid and the two combined in patients with hypercholesteromia.Am.J.Cardiol 73:339-345,1994