DPP-4

シタグリプチンとSU剤との併用に関する勧告(日本糖尿病学会)

21/04/2010

シタグリプチンとSU剤の併用

糖尿病

糖尿病

DPP-4阻害薬シタグリプチン(ジャヌビア/グラクティブ)とSU剤の併用による重篤な低血糖の報告が相次いでいる問題で、日本糖尿病学会が勧告を出している。

それによると、以下の特徴を持つ症例で重篤な低血糖をきたすケースが相次いでいる。
高齢者
軽度腎機能低下
SU薬の高用量内服
SU薬ベースで他剤併用
シタグリプチン内服追加後早期に低血糖が出現

勧告の内容は以下である。

1)高齢者や軽度腎機能低下者にSU薬の使用は極めて慎重でなければならない。投与して効果が少ない場合、SU薬は安易に増量しない。

2) 高齢者・心不全・腎機能低下(軽度障害を含む)は、現行ではビグアナイド薬の投与は禁忌。

3) SU薬ベースで治療中の患者でシタグリプチンを追加投与する場合、SU薬は減量が望ましい。特に高齢者(65歳以上)、軽度腎機能低下者(Cr 1.0mg/dl以上)、あるいは両者が併存する場合、シタグリプチン追加の際にSU薬の減量を必須とする。アマリール2mg/日を超えて使用している患者は2mg/日以下に減じる。オイグルコン(ダオニール)2.5mg/日を超えて使用している患者は2.5㎎/日以下に減じる。グリミクロン40㎎/日を超えて使用している患者は40mg/日以下に減じる。この量以下で、血糖コントロール不十分な場合はそのままシタグリプチンを併用し、必要に応じてSU薬を増量する。SU薬が上記の量以下で、治療されていて血糖コントロール不十分な場合はそのままシタグリプチンを併用し、血糖の改善がみられれば、必要に応じてSU薬を減量する。

4) SU薬を使用する場合には、常に低血糖を起こす可能性があることを念頭に置き、患者にも低血糖の教育など注意喚起が必要である。

5)上記の点を考慮するとSU薬をベースとした治療にシタグリプチンを併用する際、SU薬の投与量について判断し難い場合は専門医へのコンサルトを強く推奨する。

SU剤の具体的な名前を挙げ、用量にまで言及していて大変親切・丁寧な対応であると思う。SU剤単独投与であっても一定以上の腎障害例、高齢者は要注意であるから、同様にインスリン分泌を促進するDPP-4阻害薬の併用となるとさらに難しい。船橋市の糖尿病内科では今のところシタブリプチンをSU剤と併用しておらず、重篤な低血糖に遭ったことは無い。専らメトホルミンかピオグリタゾンと併用しているが、低血糖は1例も無い。

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