糖尿病内科

膵切除例において術後早期の耐糖能はおおむね保たれることが多い

22/06/2015

膵切除例において術後早期の耐糖能はおおむね保たれることが多い

糖尿病

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膵切除例において術後早期の耐糖能はおおむね保たれることが多いが,遠隔時では膵切除量と膵線維化の程度に大きく左右される.正常膵であれば糖尿病90%以上の切除でなければ発症せず,慢性膵炎例では40-80%の膵切除であっても18%に発生すると報告されている(野村ら,日本臨床 60,2002).

膵頭十二指腸切除や膵体尾部切除などの膵部分切除術では術後耐糖能が著しく悪化する症例は少なく,術後早期の糖尿病発症は少ないとされる.

膵ラ氏島は膵頭部や体部に比べ膵尾部に多く分布するため,膵体尾部切除では膵頭十二指腸切除より耐糖能は低下しやすい.また野村らは,膵頭十二指腸切除後の長期的な耐糖能について膵癌では16.7%,慢性膵炎では40%に異常を認めたのに対し,膵体尾部切除後では42.9%に耐糖能異常が出現したと報告しており,部分切除の部位を問わず術後遠隔時の耐糖能管理も重要と考えられる.

膵全摘後の糖尿病では,インスリンと同時にグルカゴンも消失するのでインスリン必要量は少ないものの血糖の同様が激しい.またグルカゴン分泌不全のために低血糖に陥りやすく,低血糖からの回復も遅い.さらに膵外分泌機能の低下による栄養障害のため痩せが強くなる.

糖尿病患者さんは少なくない慢性膵炎の既往は無くても術後3ヶ月の比較的早期に糖尿病を発症するケースは少なくない.これは膵体部の腫瘍およびその周辺に加えて膵頭部を追加切除し,切除が比較的広範囲に及んだため,残存ラ氏島が減少したためと考えられる.

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