バイオシミラー

インスリンはジェネリックにならないの?

09/06/2009

インスリンはジェネリックにならないの?

グラルギンのバイオシミラー

グラルギンのバイオシミラー

リーズナブルなバイオシミラーインスリンで自己負担軽減

イーライリリーのグラルギンBS

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最近、外来で「ジェネリックに変えて下さい」と申告する患者さんが増えている。「ジェネリック」という製薬メーカーがあると誤解している方も多いし、そもそも「ジェネリック」という言葉が覚えにくくて「その、あの、ジェ、何だっけ?」みたいになってしまうケースが多い。日本人(特に中高年)にもう少し親しみやすいネーミングにすること、もう少しシステムの啓発に努力することを後発品メーカーに求めたい。
もうひとつ困った要望が、「インスリンをジェネリックにしてください」というもの。確かにインスリンは高価だ。打つ単位数が多い人ほど経済的負担が大きくなる。本当にインスリンが必要な患者さんに、「残念ながら今のあなたの状態ではインスリンを打たないとコントロールできないので、ここで思い切ってインスリンを始めましょう」というと経済的に無理だから内服でなんとかしてくれと懇願されることもしばしばある。コストカットできれば彼らを救うことが出来る。しかし、残念ながらインスリンの後発品はない。インスリンアナログ製剤はもとよりヒトインスリン(速効型インスリン)も皆無なのだ。やはり、大腸菌にヒトの遺伝子を導入してヒトインスリンを産生させる技術は生半可ではなく、設備投資に莫大なコストが発生するからどこも参入しないのだろう。

インスリンのバイオシミラーを使えば、DPC病院で大幅なコストダウンが可能だ。DPC病院こそインスリンのバイオシミラーを使すべきだろう。

1933年には、ポーランドの精神医学者マンフレート・ザーケルにより、インスリンを大量投与することにより低血糖ショックを人為的に起こさせて精神病患者を治療するというインスリンショック療法(Insulin shock therapy)が考案されたが、死亡例が多く、その後薬物療法などが登場したため1950年代には廃れた。恐ろしく乱暴なことが行われていたようだ。こんなことをしたら、そりゃあ死者も出るし、知能低下も起こすだろう。プラスの作用はほとんど期待できないと思う。

2015年、いよいよグラルギンのバイオシミラーが登場します。糖尿病患者さんには大きなメリットのあるニュースである。糖尿病診療に貢献できるだろう。

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