糖尿病内科

3年で2冊の実験ノートは多いか少ないか

06/04/2014

3年で2冊の実験ノートは多いか少ないか

実験

実験

理研の小保方さんの問題が世を賑わせています。私が驚いたのは、年間1万本の投稿があって800件しかアクセプトされないNatureにアクセプトされたテーマでありながら、3年間で実験ノートが2冊というところです。

Natureと言えば査読も厳しでしょうし、追加実験だけでも膨大な量になると考えられます。理路整然、無駄の無い実験プランの連続であれば3年で2冊ということもあり得るだろうと思い、すごいなと思ったものですが、残念ながらそうではないようです。

私の大学院生時代はといえば、毎日実験ノートをボスにチェックされ、厳しく管理されていました。Natureと循環器内科したらIFでは足元にも及ばないJournalにやっとアクセプトされた自慢にもならないものでしたが、実験ノートは4年で10冊以上にはなっていました。リバイスだけで数冊は行っていましたね。

今回の問題は、アクセプト率8%と狭き門で知られるNatureがちゃんとチェックしていたのか?という点で疑問が残ります。Reviewerも大変ですが、Natureの名に恥じぬ査読が求められています。

小保方氏実験ノートずさん、3年で2冊・断片的

2014年4月2日 読売新聞

世界的に注目されたSTAP(スタップ)細胞の研究論文で、理化学研究所の調査委員会が1日、「画像の捏造(ねつぞう)」を認定する報告書を発表した。

「ノーベル賞級」と言われた研究成果なのに、小保方晴子ユニットリーダー(30)が調査委に提出した実験ノートは3年分で2冊だけ。著名なベテラン研究者も加わった共同研究のずさんなデータ管理に、研究者は「信じられない」と驚き、識者からも「個人の問題にすべきでない」との声が上がった。

「これだけ実験ノートの内容が断片的な記載で、実験が追跡できないというのは経験がない」 東京都内で開かれた記者会見で、調査委員会の石井俊輔委員長は驚きを隠さなかった。実験ノートは、実験が正しく行われたことを証明する重要な記録。そのずさんな管理が「捏造判定」の決め手になった。石井委員長は「記述内容も詳しくないため、肝心の画像がどのように作られたかを追跡できなかった」と語った。ノートの日付も正確でなかったという。

一流科学誌審査に限界 STAP論文不正 2週間で回答 性善説が前提

読売新聞 2014年4月3日

STAP細胞の論文が掲載された英科学誌ネイチャー。理化学研究所の調査委員会が、論文中の画像に捏造や改ざんを認定した

理化学研究所の 小保方おぼかた 晴子ユニットリーダーらが書いた STAPスタップ 細胞の論文で、核心部分の画像データに 捏造や改ざんがあったと、理研の調査委員会が認定した。論文が載った英科学誌ネイチャーは、掲載率8%という狭き門で、専門家による厳しい査読(審査)が重ねられる一流科学誌の代表格だ。だが、今回の研究不正の発覚によって、科学者の良識と善意を前提とする査読の限界も明らかになった。

論文が1月にネイチャーに掲載された際、理研は発生・再生科学総合研究センター(神戸市)が総力をあげ、小保方氏を支援した成果だと強調した。論文は当初「細胞生物学の歴史を愚弄している」と却下されたが、理研は「ネイチャーの査読者から指摘された問題を研究陣が解決し、掲載にこぎ着けた」と説明した。初投稿から掲載まで2年近くかかった。

ネイチャーなど一流科学誌の査読の基本的な仕組みは、ほぼ共通している。まず編集者が、投稿された論文を精読し、研究内容の重要性や整合性などを基に、査読に回す論文を選ぶ。査読では、その論文と同分野で実績のある研究者2~3人に審査を依頼する。

査読者は、論理構成に矛盾がないかどうかや、必要な実験データがそろっているかなどを中心に調べる。研究者の多くは、こうした査読を無償で引き受ける。研究者として名誉であることはもちろんだが、科学の発展に貢献したいという思いが基本にある。ネイチャーの査読経験を持つベテランの生物学者は「編集者からいきなり依頼が来て、2週間で回答しなければならない。仕事が忙しいときは大変」と明かす。

科学者間の善意に支えられるシステムであるだけに、手間暇をかけて、データの捏造や盗用を調べることは現実的ではない。慶応大の福田恵一教授は「データにウソはないという性善説が前提だ。研究者の良識を信じるしかない」と話す。東京大の上昌広特任教授は「特に今回の論文は、理研を代表する著名な研究者が名を連ねており、捏造や改ざんの可能性まで疑うことは難しかったのではないか」と指摘する。

日本分子生物学会理事長で、徹底調査を求めた大隅典子・東北大教授は「論文を査読に回す際には、生データの添付を義務づけるなどの対策が必要だ」と呼びかける。

掲載 研究資金に直結

世界の研究者がネイチャーのような一流誌へ競って論文を投稿するのは、掲載されれば研究者としての名声が高まるだけでなく、政府から研究資金が獲得しやすくなるためだ。

公募で研究者に配分する国の予算は4085億円(2013年度)に上るが、獲得競争は激しく、十分な資金を得られる研究者は一握りだ。予算の配分を担当したことがある文部科学省の幹部は「有名な科学誌への掲載実績があるかどうかも大きな判断材料だ」と明かす。

研究倫理に詳しい愛知淑徳大の山崎茂明教授は「一流誌への論文掲載は、研究者が所属する大学や研究機関にアピールする絶好の材料になる」と指摘する。

だが、掲載は容易ではない。ネイチャーによると、11年に投稿された1万47本の論文のうち、掲載にこぎつけたのは813本。掲載率は約8%にすぎない。

理研の野依良治理事長は1日の記者会見で「研究者が職を得るのは大変厳しい状況だ。研究不正が起きるのは、有名な科学誌に論文が載れば高く評価されることも背景にある」と述べた。

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