糖尿病内科

肥満2型糖尿病患者では、NAFLDの存在がより深刻な高インスリン血症をもたらす。

09/05/2016

2型糖尿病の肥満患者における非アルコール性脂肪性肝炎の代謝への影響

シタグリプチンがNASHを改善する

Metabolic Impact of Nonalcoholic Steatohepatitis in Obese Patients With Type 2 Diabetes.

Diabetes Care. 2016;39:632-638

目的

NASH (Nonalcoholic Steatohepatitis) は肥満患者でますます増えているが、2型糖尿病患者を合併するNASHの代謝面での終着駅はよくわかっていない。

方法
154名の肥満患者を4群に分けた。
1) 対照群 (2型糖尿病でもNAFLDでもない)
2)2型糖尿病だがNAFLDなし
3) 2型糖尿病で(独立した=肝硬変ではない)脂肪肝
4) 2型糖尿病かつNASH

プロトンMRSでラベリングで肝臓内トリグリセライドを評価した。OGTT-オイグリセミックグルコースクランプ法でインスリン分泌、インスリン抵抗性を評価した。

結果
性別、BMI、総体脂肪で群間差はみられなかった。2型糖尿病があると代謝のパラメータは劇的に悪くなり、脂肪肝が進行すると高血糖がより顕著になり、NASHではインスリン抵抗性が悪化し、脂質異常症が悪化(トリグリセライド上昇とHDL-C低下)した(有意差あり)。脂肪肝単独に比べ、機能障害を持ち、インスリン抵抗性の脂肪組織が増え、脂肪組織のインスリン抵抗性は悪化した。肝臓のインスリン感受性は2型糖尿病でもNASHでも悪化したが、空腹時の血中インスリン濃度は生理的レベルを上回った。

結論
肥満2型糖尿病患者では、NAFLDの存在がより深刻な高インスリン血症をもたらす。非NAFLDと比較した脂肪組織・肝臓のインスリン抵抗性は悪化した。数多くのNAFLD、その有り難くない代謝プロファイルを持つ人に対する対策を早急に立てて取り組まなければならない。

本文
NAFLDは広範な肝疾患を包含する、最近認知されつつある病態だ。これは単純な脂肪肝からNASHまでを含み、肝硬変、そしてその結果としての肝細胞癌をもたらしうる。西洋諸国での有病率は24-42%とバラつきがあるが、肥満の蔓延とともに急速に広がっている。MRIで調べると、肥満者のNAFLD率は65%にも達する。2型糖尿病患者ではさらに多いと考えられているが、大規模なスタディは行われてこなかった。環境因子、生活習慣、先天性、また脂質異常などがNAFLDの成因になっている。

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