インスリン

ランタス注ソロスター 2

30/12/2008

ランタス注ソロスター 2

ランタス注ソロスター
ランタス注ソロスター

私の糖尿病外来ではランタス注ソロスターの処方数が順調に増えている。ランタス注ソロスターに関しては過去記事で紹介したのでご参照下さい。
m3.comでサノフィ・アベンティスが「今週のインスリン処方について」(記憶不正確)というアンケートを毎週施行していた。最近、2週間に一回になったのだが、お答えになっている先生も多いだろう。先日、サノフィ・アベンティスのランタス説明会で聞いたのだが、どうやらN社のNPH製剤の処方数を抜いたようである。

最近GoogleやYahoo!で「ランタス ソロスター」と検索した結果、ブログにお越しになる方が多い。それだけ処方数が伸びている証拠だろう。世界では(超即効型、即効型、NPH、持効型全てあわせた)インスリン製剤におけるランタスのシェアはダントツなのだが、日本は例外であった。ランタスはこれまで不具合、回収の不運続き。ソロスターで巻き返そうとしている。N社の持効型も出ているが、影響は大きくない模様だ。

ソロスターの特長は以下のようなものである。ほとんどの患者さんが満足されている。

1.単位数の目盛りを回すのが軽い!
2.オプチクリックに比べて小さくなった!
3.注入圧が低く、スッと入る! もうひとつ追加するとすれば、4.ペンニードルが使えるようになった!正式に使えるようになった模様。

今までは割高なマイクロファインプラスを使う他無く、「高い!」とクレームをつけてくる患者さんにお会いしたこともある。N社の製剤から切り替えてもペンニードルが無駄にならないのは有難い。

最近流行のBOT (Basal supported Oral Therapy)もランタスには追い風だ。BOTとはBasal=基礎インスリンとしてランタスなどの持効型を1日1回注射したうえに、内服薬を併用して血糖コントロールを目指すもの。基礎分泌を補うため膵臓の疲弊を来たしにくく、また1日1回の皮下注で済むため患者さんの手間を小さくできるのが利点だ。個人的感想としては、「1日1回なら打っても良い」という患者さんは意外に多く、「やってみたらこんなに簡単なので驚いた」というケースが多く非常に期待できる手法である。私の良くやる方法としては、ランタス6-8単位を1回打ちで基礎インスリンとして入れた上に、アマリールなどのSU剤を朝夕に分けて入れる(ビグアナイドやチアゾリジン系は適宜併用)方法に落ち着きつつある。内服だけだった頃に比べ驚くほどよくなる人もいる。しかし、インスリン分泌能が絶対的に悪い人はやはりダメである。食後高血糖が避けられない。こういう人は超速効型の併用が不可避である。

最近、長年血糖コントロールが悪く、「インスリンは絶対嫌だ」と拒否していた男性がオペを受けることになり、厳格な血糖コントロールが求められた。「オペ前後だけだからお願い!」とお願いして何とかランタス1回+内服に切り替えた。幸い、コントロールは非常にうまくいった。それも良かったが、もっと良かったことがある。オペ後に病室に伺ったところ、「先生、インスリンは絶対嫌だと思っていたけど、やってみたらすごく簡単だった。こんなに簡単でこんなに血糖が良くなるなら、俺、ずっとこれ打ってもいいよ!」と言ってくれたことだ。糖尿病患者さんが少しでも治療に前向きになってくださるきっかけになれば幸いである。

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