糖尿病内科

低血糖と偶発的認知機能障害:ORIGIN試験からの事後分析

28/11/2013

低血糖と偶発的認知機能障害:ORIGIN試験からの事後分析

糖尿病

糖尿病

Hypoglycemia and Incident Cognitive Dysfunction: A Post Hoc Analysis From the ORIGIN Trial
Diabetes Care 2019 Jan; 42(1): 142-147.

目的

疫学的研究は、中高年の2型糖尿病患者における重度の低血糖、認知機能障害、および認知症の間の関係を報告している。しかしながら、重症または非重症の低血糖が認知機能障害に先行するかどうかは依然として不明である。それを受け、本研究の目的は、初期グラルギン介入による転帰の減少(ORIGIN)試験で前向きに収集されたデータを使用して、慎重に追跡された患者のグループにおける低血糖と偶発的認知機能障害の関係を分析することとした。

方法

無作為化対照試験からのデータのこの前向きコホート分析には、追加の心血管危険因子およびミニメンタルステート検査(MMSE)スコア≧24(N = 11,495)を有する血糖異常症の個人が含まれた。追跡期間中央値6.2年の間に、重症および非重症の低血糖イベントがプロスペクティブに収集された。偶発的な認知機能障害は、認知症の報告またはMMSEスコア<24のいずれかとして定義された。無作為化の時点からの偶発的な認知機能障害(すなわち従属変数)に対する重症または非重症の低血糖の少なくとも1つのエピソードのハザードは、ベースライン心血管疾患、糖尿病状態、治療配分を調整した後のCox比例ハザードモデルを用いていずれかの形態の低血糖に対する傾向スコアを推定した。

結果

この分析では、重度の低血糖傾向を調整する前(ハザード比[HR] 1.16; 95%CI 0.89、1.52)または後(HR 1.00; 95%CI 0.76、1.31)のいずれにおいても、重症低血糖と認知障害の関連性は示されなかった。逆に、重症でない低血糖は、調整前(HR 0.59、95%CI 0.52、0.68)と調整後(HR 0.58、95%CI 0.51、0.67)の両方で、認知機能障害と逆相関していた。

結論

低血糖症は、11,495人の中年の耐糖能障害者における認知機能障害のリスクを増加させなかった。

-糖尿病内科