糖尿病内科

自治体が糖尿病予防に力を入れ始めている

28/02/2015

自治体が糖尿病予防に力を入れ始めている

メタボリックシンドローム

メタボリックシンドローム

糖尿病患者が一人増えれば、莫大な医療費がかかる。その人が企業人であれば健保組合がそれを被るし、国保の人がかかれば自治体が被る。

国保の人が糖尿病になって困るのは自治体だ。だから、各自治体が住民の糖尿病予防に乗り出している。

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運動したりすれば現金や商品をプレゼント 健保組合や自治体 

朝日新聞 2015年2月27日 

病院にいかなかったり、運動したりすれば現金や賞品をプレゼント――。自治体や健康保険組合の一部で、加入者の健康意識を高める取り組みが始まっている。厚生労働省はこうした奨励策を後押しするため、今の国会で関連法の改正を目指す。年1兆円規模で増える医療費を抑える狙いだが、懸念の声もある。 

「あなたの世帯は平成25年度において極めて健康的に過ごされました」 

昨年11月、岡山県総社市の市役所。秋山伊久雄さん(74)ら市民16人が片岡聡一市長から「奨励状」を受け取った。書状に貼り付けられているのは本物の1万円札だ。出席者は全員、2013年4月から1年間、医者にかからなかった。現金はその「ご褒美」だ。秋山さんは「1万円もらえると聞いて驚いたが、良い試みだと思う」と話す。 

 この奨励策は、国民健康保険(国保)の財政を改善しようと、13年度から市が始めた。支給対象は、40歳以上が対象の特定健診(メタボ健診)を受けたうえで、1年間だれも医者にかからなかった世帯だ。 

13年度は、全9067世帯(1万5872人)のうち、70世帯(72人)が支給対象となった。メタボ健診の受診率(13年度)は27・2%と前年度(26・8%)からわずかだが上昇。12年度に約6800万円の赤字だった国保会計は、13年度に約400万円の黒字に。市は1万円支給も一因とみる。片岡市長は「市町村は厳しい国保会計を改善する努力をしなければならない。1万円が健康を意識するきっかけになれば」と話す。 

千葉市は13年度から、スマートフォン用の歩数計アプリを活用、「健康ポイント」をためる取り組みを試験的に始めた。参加者は1日5千歩で5ポイントもらえる。14年度は約2千人が参加、6月から半年間、ウォーキングに取り組んだ。ポイントをためると景品に応募でき、800ポイントで10万円分の旅行券や自転車が抽選で当たる。 

大手コンビニのローソンの健康保険組合(健保組合)は13年度から、本社と連携して年1回の健康診断を受けなかった人の上期のボーナスを15%カットする仕組みを作った。直属の上司も10%減らす。健診で必要とされた再検査を受けないときは、下期の本人分2~8%を減らす。受診率向上が狙いで、受診率はこれまでの97~98%から13、14年度は100%になった。 

 ■国も法改正で後押し 

 厚労省はこうした奨励策を広げるため、健康づくりに励めば、賞品やお金をあげることができると法改正で明確にする。 

 医療費は39兆2千億円(12年度)。25年間で倍以上になった。25年度には60兆円に達する見通しだ。厚労省は、こうした取り組みを広め、医療費を少しでも抑えたい考えだ。 

 ただ懸念の声もある。健康保険組合連合会は「特定の人に現金を与えたり、保険料を減らしたりすると結果的に他の人の保険料が増える」と懸念を示す。 

 また、日本医師会の横倉義武会長は会見で「病気をしてもなかなか医者にかからないインセンティブ(動機付け)もかかる。重症化の心配もある」と話した。 

厚労省は15年度中に指針をつくる方針で、「受診抑制につながらないような基準を盛り込みたい」としている。 

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