糖尿病内科

肝硬変合併糖尿病症例へのトラゼンタ(リナグリプチン)、ジャディアンス(エンパグリフロジン)による治療

05/11/2016

慢性C型肝炎は完治する時代が到来した

慢性C型肝炎は完治する時代がやってきた。

慢性C型肝炎は完治する時代がやってきた。

ハーボニー(genotype1), ソバルディ(genotype2)の発売により、C型肝炎は95%以上の確率で治癒できるようになった。長期的にはウイルス性肝硬変が減っていくだろう。今後はウイルス性肝炎が原因となる肝臓がんの患者が抑えられると期待されている。このためウイルス性に代わって患者の増加が心配されるのが脂肪肝による肝臓癌である。肥満や高齢化で脂肪肝になる患者が増えれば、必然的に脂肪肝から肝臓癌になるケースが増加する。脂肪肝は自覚症状が乏しく進行性かどうかを見分けにくいため治療が遅れることも多い。脂肪肝に向けた新しい診断や治療薬の開発が期待される。

日経朝刊 脂肪肝

日経朝刊 脂肪肝


次のターゲットは脂肪性肝炎

次のターゲットは脂肪性肝炎


脂肪性肝炎の患者は多い

脂肪性肝炎の患者は多い

今後は脂肪肝を治療するのが大事になってくる

DPP-4阻害薬は肝保護的に働く可能性がある。

DPP-4阻害薬は肝保護的に働く可能性がある。

即ち、NASH、NAFLDに対する対策が重要になってくるのだ。DPP-4は健常人の肝臓で高発現している。慢性C型肝炎、肝硬変・肝細胞癌では血清DPP-4濃度が上昇し、インスリン抵抗性発現にその活性亢進が関与する。血清DPP-4濃度と肝臓でのDPP-4発現はNon-alcoholic fatty liver disease (NAFLD) 重症度と相関し、ヒトでDPP-4阻害薬での治療がNAFLDに有効であると報告されている。DPP-4阻害薬は血糖コントロールだけでなく、肝疾患の病態そのものも改善する可能性があるのだ(出典は図参照)。

リナグリプチンによる肝保護の可能性

リナグリプチンによる肝保護の可能性


エンパグリフロジンがインスリン抵抗性を改善

エンパグリフロジンがインスリン抵抗性を改善


リナグリプチンとエンパグリフロジンの併用で脂肪肝が改善する

リナグリプチンとエンパグリフロジンの併用で脂肪肝が改善する


リナグリプチンとエンパグリフロジンでインスリンを離脱する

リナグリプチンとエンパグリフロジンでインスリンを離脱する

アルコール性肝硬変、糖尿病(恐らく2型ベース、肝性糖尿病が併存)50代男性に強化インスリン療法からの離脱を目的で、肝硬変でも内服できるトラゼンタ®併用にて投与インスリン量の漸減を図る方針で治療を開始した。詳細は省くが、ジャディアンスが処方できないような肝不全ではない。内因性インスリン分泌は十分だった。基礎インスリンOFF、追加インスリンも減量してトラゼンタ®5mgを開始した。体重は改善の傾向がみられたが、HbA1cはやや上昇傾向となった。そのため追加インスリンを中止し、ジャディアンス®10mgを追加した。腹水貯留のためフロセミド、スピロノラクトンも内服していること、夏場を迎えることから水分を平時プラス1.5Lは必要、まとめて摂るのではなく少量ずつこまめに摂るようお願いした。トラゼンタ®、ジャディアンス®併用でインスリンOFFができている。体重も順調に減っている。脱水症は起こしていない。

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