DPP-4

DPP4阻害薬またはGLP-1は心不全とは無関係

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TECOS/DPP4阻害薬またはGLP-1は心不全とは無関係

tecos study 心不全

tecos study 心不全

DPP4阻害薬またはGLP-1は心不全とは無関係

Oriana Hoi Yun Yu Diabetes Care February 2015 vol. 38 no. 2 277-284

UKで2007年から2012年に新たに代謝の薬を処方された患者を臨床データベース(Clinical Practice Research Datalnk)から抽出した。57737名を平均2.4年追跡調査して1118名の心不全による入院を認めた。GLP-1またはDPP4阻害薬と心不全の入院との間には有意な相関を認めなかった(OR 0.85 [95%CI 0.62-1.16]。

SAVOR-TIMI 53におけるsaxagliptinの心血管リスクが話題になった。それを受けての研究である。2015年4月、サキサグリプチンのみならずアログリプチンについてもFDAの諮問委員会から追加情報の要請が出ている。SAVOR-TIMI 53でサキサグリプチンがCHFリスクを上げるとの話あり。secondary analysisで心不全の入院を増やした。saxagliptin群(289例[3.5%])のほうがプラセボ群(228例[2.8%])よりも有意に多かった(HR 1.27,95%CI 1.07-1.51,P<0.001)。ところが心不全による入院についてはサキサグリプチン群の方が27%、有意に増加していた。その詳細が検討され、心不全の既往がある、または慢性腎臓病(CKD)を合併した患者で同リスクが高くなることが確認された。この結果は10月28日発行のCirculation誌に掲載された。SAVOR-TIMI 53試験は、26カ国788施設が参加して行われた国際共同多施設ランダム化二重盲検プラセボ対照試験。2010年5月~11年12月に1万6492例の2型糖尿病患者を、サキサグリプチン投与群(5mg/日、推算糸球体濾過量[eGFR]が50mL/min以下の場合は2.5mg/日)またはプラセボ投与群に割り付けた。対象は、HbA1cが6.5~12.0%であり、心血管疾患の既往があるか血管疾患の危険因子が複数ある患者とした。主要評価項目は、心血管死、心筋梗塞、虚血性脳卒中の複合とした。副次的評価項目は、主要評価項目に心不全による入院を加えた複合項目、冠動脈血行再建、不安定狭心症とした。また、患者1万2301例(全体の74.6%)ではNT-proBNPを測定した。サキサグリプチンの第2相および第3相試験では、体液貯留や体重増加、心不全の徴候は見られていない。しかしこれまでの臨床研究の中には、ビルダグリプチンの12カ月の投与で左心室拡張末期容積の増大を認めたとする報告や、複数のDPP-4阻害薬の6週間の投与でFMDにより評価した血管内皮機能の悪化を認めたとする報告など、DDP-4阻害薬による心不全悪化の可能性を指摘するものもある。患者層.
新規に糖尿病薬を処方された群。DPP-4阻害薬はシタグリプチン、ビルダグリプチン、サキサグリプチン,GLP-1はリラグルチド、エキセナチド内服薬、インスリン併用は可能.1998/1/1-2012/03/31 の間にインスリン以外の糖尿病薬で初めて薬物療法を受けたもの粗オッズ比、調整オッズ比とも増大しない。CVリスクも上げない(supp).sensitivity analysisでは、インスリン・チアゾリジンジオンを除いている、腎不全を除いていることからオッズ比に差がないようだった。今回の研究からインクレチン関連薬の使用は心不全入院を増やさないといえる。

なぜ今回はSAVOR-TIMI53の結果と異なる結果が出たのか?まず、SAVOR-TIMI53は心不全の既往歴のある患者が含まれていた。今回はそれを除外した。つづいて、SAVOR-TIMI53に参加した患者の糖尿病罹病歴は長かった。10.3年対2年。また、SAVOR-TIMI53はインクレチン関連薬全体というよりもサキサグリプチンに特化していた。だから、サキサグリプチンに特有の影響である可能性は否定できない。SAVOR-TIMI53はインクレチン関連薬の心不全リスクに警鐘を鳴らした一方で、インクレチン関連薬が心不全の進行を抑制するとするデータもある。例えば、エキセナチド・リラグルチドがBNPを下げるという報告がある。GLP-1が左室機能を上げるという報告もある。心不全・糖尿病を合併した群にシタグリプチンを使用するとCHF入院を増やすという報告が最近なされたが、これは解釈が難しい。これらを併せて考えると、インクレチン関連薬は心不全には中立もしくは↓(18歳以下、コホートエントリー1年前以内に薬物治療、最初の薬物治療の前にインスリン治療歴 を除外)↓(2007年前以前と同じ経口糖尿病薬を継続、12ヶ月以内に心不全入院をしている者を除外)2007年以降に薬物治療開始、もしくは切り替え例 60892名↓(エントリー前に心不全ありを除外)Study Cohort 2007年に、もしくは2007年以降に経口糖尿病薬開始例 57737名そのうち心不全イベントのあった者 1118名Controls 17626名心不全イベントのあった者、Controlsに年齢、糖尿病薬投与歴、男女比に差はない1.インクレチン関連薬の投与日数でカテゴリー分け(1-83日、84-265日、265日超)2.インクレチン関連薬の投与群をタイプ別に階層化3.以下のヒエラルキーで再分類:インクレチン関連薬+インスリン、インクレチン関連薬+その他の内服薬、インクレチン関連薬単独投与群。4.糖尿病治療歴が5年未満/5年以上でCVDイベント発症がどう変わるか。1.インスリンもしくはチアゾリジンジオンの使用歴のある患者は心不全リスクが高いので除外。2.腎障害の患者にはメトホルミンが非推奨。よって腎障害、透析例は除外。投薬期間は2.3年薬物治療の内訳は、メトホルミン単独が67.1%、SU剤単独が13%、インクレチン関連薬が5.7%(単独、併用含む)残り14.2%は他剤。CHF case subjectsはより肥満傾向で、腎臓病、心臓病、COPDなどのリスクが高く死亡率が高くなりそうだった。またβ-blocker,カルシウム拮抗薬、利尿剤をより多く処方され、受診頻度も高かった。Table2はインクレチン関連薬のcurrent usersと他剤usersの比較。他剤usersと比較してインクレチン関連薬usersはやや若く、より肥満で、投薬数が多くて受診回数も多かった。前者のほうが死にやすく薬漬けということだ。インクレチン関連薬usersは他剤usersと比べてCHFリスク増大と関連していない。良い影響があると言える。

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