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SGLT2

ダパグリフロジンの心血管疾患に対する良い作用

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ダパグリフロジンの心血管疾患に対する良い作用

Dapagliflozin's Effects on Glycemia and Cardiovascular Risk Factors in High-Risk Patients With Type 2 Diabetes: A 24-Week, Multicenter, Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Study With a 28-Week Extension.

ダパグリフロジンの心血管疾患に対する良い作用

ダパグリフロジンの心血管疾患に対する良い作用

Dapagliflozin's Effects on Glycemia and Cardiovascular Risk Factors in High-Risk Patients With Type 2 Diabetes: A 24-Week, Multicenter, Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Study With a 28-Week Extension.
Diabetes Care 2015;38:1218-1227

SGLT2iは狭心症や心筋梗塞の既往のある患者には使いにくいというのが現在のコンセンサスとなっている。現在のような猛暑の時期はなおさらだ。この問題について、示唆を与える論文がDabetes Careに掲載された。船橋市の糖尿病患者さんにも心血管イベントの既往のある方が多く、それでいてSGLT2を使えたらという人が少なくない。船橋市の糖尿病患者さんにとって良いニュースだ。

目的
心血管疾患既往、高血圧症を持つ2型糖尿病患者に対するダパグリフロジンの有効性と安全性を検討する。

方法
二重盲検法、ランダム化された試験。922名の患者をダパグリフロジン10mgとプラセボに無作為割付24週フォロー、28週まで延長して観察。インスリン治療を受けている患者は、ランダマイズの際にインスリン量を25%削減。患者は年齢、インスリン使用の有無、最近のCVイベントによって階層化された。ベースラインからのHbA1cの変化、HbA1cで0.5%以上・体重で3%以上・収縮期血圧で3mmHg以上改善を達成した患者の割合を共同一時エンドポイントとした。

結果
24週目でダパグリフロジンはHbA1cをベースラインから0.38%有意に下げた。ダパグリフロジン群はプラセボ群に比べて3点のエンドポイント達成率が有意に高かった(各々11.7%対0.9%)。この差は52週を超えても持続した。約42%の患者は65際以上であったが、年齢で階層化した結果でも同様の傾向がみられた。重症な有害事象である低血糖、尿路感染症、心血管障害は両群で似通っていた。有害事象である低血圧、脱水、循環血漿量低下、性器感染症、腎障害・腎不全はダパグリフロジン群のほうが多かった。

結論
将来のCVDリスクが高いと見積もられた2型糖尿病患者にダパグリフロジンを投与することで、プラセボに比べてCVリスクを上昇させることなくHbA1c,体重、収縮期血圧を有意に下げることがわかった。

本文
加齢とともに2型糖尿病患者の治療レジメンは併用療法に振れていき、合併症に伴った他剤も増えていく。CVD,高血圧症、肥満。慢性的な高血糖は細小血管症、大血管症の両者を引き起こすが、米国ではHbA1c7%の目標を達成している2型糖尿病患者はわずか52%に過ぎない。至適血糖コントロールは糖尿病薬の副作用、高齢であること、薬漬けによって妨げられうる。合併症の存在によって患者の臨床的状態、健康リスクをもたらしたとして、効果的な2型糖尿病マネジメントは至適血糖コントロールを達成しなければならないし、CVDリスク、高血圧症、肥満に対する治療戦略を包含していなければならない。これまでの糖尿病薬に対する臨床試験に於いて、高齢 and/or 将来のCVイベントリスクが高い2型糖尿病患者に対するこれまでの研究は不十分であったし、じゅうぶん評価されてこなかった。さらに、高齢者の場合は合併症が多く、余分な治療を要する傾向にある。よって、ハイリスクな患者に対する治療レジメンを考える際に、臨床医が有用な治療法のエビデンスを持っていなければならない。ダパグリフロジンの血糖コントロール改善作用、体重減少作用など良い点が報告されている一方で、心血管高リスク患者に対する安全性情報は不足している。そこで、CVDハイリスク患者に対するダパグリフロジンの血糖改善作用、体重減少作用、収縮期血圧低下作用について検討することにした。高リスクの定義は、CVD,高血圧の既往があり、高リスクと考えられる高齢者および多剤併用患者(経口糖尿病薬、インスリン、降圧剤、利尿剤)。CV安全性のスタディしてデザインされていないが、24週、二重盲検、ランダム化比較試験として始め、最終的に52週まで追跡した。多施設、ランダム化比較試験、二重盲検、プラセボ化、phase3国際試験、24週だが28週延長。欧州、アジア、米国、カナダ、アルゼンチン。計104週となる52週延長試験が実施中である。922名の患者が1:1でダパグリフロジン10mgとプラセボに割り付けられている。プラセボ群は、ダパグリフロジン10mgと同等の力価を持つ薬剤(ロシグリタゾンを除く)で置き換えられる。患者は年齢(65歳未満、65歳以上)、インスリン使用の有無、1年以内、1年超のCVイベントの有無で層別化された。ランダム化の際にインスリンを使用していた例では、ランダム化2週間前に平均インスリン使用量をプロトコルにしたがって25%削減した。血糖コントロール悪化の際のタイトレーションは許されている。28週の延長期間の間、患者は24週間の治療法を継続した。血糖コントロール悪化時、血圧悪化時の糖尿病薬、降圧剤のレスキューを許可されていた。1次エンドポイントは24週間のHbA1cのベースラインからの変化、3点(HbA1cで0.5%以上・体重で3%以上・収縮期血圧で3mmHg以上改善)を達成した患者の割合。2次エンドポイントは座位血圧のベースラインからの変化(8週,24週)、平均体重変化(%)、ベースラインBMI27以上だったのが体重で5%以上減ったものの割合。他の2次エンドポイントは拡張期血圧の変化、座位収縮期血圧130以上だったのが130未満になった率、ベースラインからの平均体重変化。HbA1c8%以上、9%以上の患者各々のHbA1c7%未満達成率。FPGの1週から24週までの平均変化。4,8,16,24,52週までに血糖が悪化してレスキューを要した率。HbA1c 0.5%以上改善した率。収縮期血圧をベースラインから3mmHg以上、5mmHg以上各々改善した率。インスリンがどの程度減量できたか。その平均。安全性については、AE,eGFR、身体所見で52週超検討した。

Table 1 ダパグリフロジン群とプラセボ群の人数分布

年齢、性別・・・人種は白人が多い。体重93Kg,BMI32.6

血糖改善作用
24週でダパグリフロジン群はHbA1c -0.38%、プラセボは0.08%の微増(Table2)

プラセボと絡めると、24週で有意に低下 -0.46%,52週でも-0.66%と有意に低下。-0.46%,52週でも-0.66%と有意に低下。HbA1c8%以上(-0.56%),HbA1c 9%以上(-0.99%)の群では、ダパグリフロジンによりプラセボより大幅に血糖コントロールが24週間にわたり改善し、それは52週後も持続した。軽度腎障害(eGFR60-90)または中等度腎障害(eGFR30-60)でじゅうぶん効果があった。レスキューされた者を除いたダパグリフロジン群は、最初の1週間で速やかにベースラインから空腹時血糖が下がり、24週まで持続した(sup Table2)。レスキューの歳のインスリン使用量もダパグリフロジン群はプラセボの半分以下。

体重
24週で、ダパグリフロジンは平均体重がより減少していた(-2.56%,-0.30%) Table2。52週まで持続(-2.89%,-0.29%)。プラセボと比較して24週で-2.10Kg,有意、52週で-2.51Kg、有意 Fig.1BベースラインBMIが27以上の人では、BW loss 5%以上がプラセボの4倍だった。(sup T2)

血圧
D群ではP群に比べて座位血圧が24週で下がった。血圧低下は8週で統計学的に明らかで(-1.97mmHg)、24週-1.95 mmHg,52週-3.58mmHg (T2,Fig 1C).SBP130以上とそれ以下では差が出ず。収縮期血圧は-1.7mmHg,-0.4mmHg各々。HbA1cで0.5%以上・体重で3%以上・収縮期血圧で3mmHg以上改善の3点セット
12%のダパグリフロジン群、1%のプラセボ群が達成、52週まで維持した。HbA1c 0.5%以上改善達成はDで45.3% Pで20.6%, 52週では30.6%と7%に拡大した。DはPの約3倍BW3%以上減量達成(40%と13.9%) 52週は31.9%対13.1%.収縮期血圧で3mmHg以上改善はほとんど差がない。
安全性、認容性
全有害事象
中断のほとんどはプロトコルの逸脱。本研究では群間のCVDイベントを比較するようにはなっていないが、各群間の死亡原因をリスト化した(supT3).
ダパグリフロジン群では、突然死3,多臓器不全1,MI:2,心原性・敗血症性ショック1.プラセボ群では心血管イベント死1,敗血症性1.治験統括医師は、これらの死亡は研究による投薬に関連していないとしている。

その他
尿路真菌感染症がD群でより多く見られたが、重篤とはされなかった。腎障害、腎不全がD群でより多かった。脱水もD群で多かった。

65歳以下、以上の違い
血糖の下がり具合は変わりない(sup T2),AEも変わらず。脱落はどちらもD群が多いが、65歳以上が多い。1つ以上のSAEは65歳以上・以下で変わらないが、腎障害・腎不全は65歳以上が多い。

インスリン治療
D群、P群がインスリン使用した場合での効果は変わらない。低血糖の頻度も変化がない。インスリンを使用していればどちらも高め。

結論
今まで研究されてこなかった、CVD,HTがある患者のSGLT2iの効果と安全性をみた。65歳以上以下で効果に変わりがないことがわかった。参加者は糖尿病薬、降圧剤、抗血小板薬、スタチンなどを使用していたが、インスリンは25%削減した。

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