DPP-4

DPP-4阻害薬 ビルダグリプチン (商品名:エクア)

02/12/2009

DPP-4阻害薬 ビルダグリプチン (商品名:エクア)

equa

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DPP-4阻害薬エクア ( Vildagliptin )の用法用量について、糖尿病患者さんよりご質問を頂きました。現在のところ、今回の承認についてのノバルティス・ファーマ(日本)からのプレスリリースが未着であるため国内での用法用量が明らかではありませんが、欧州では以下のようになっているようです。

ノバルティス(スイス)の2008年のプレスリリース(日本語要約です)

欧州委員会は、メトフォルミン、スルホニル尿素薬(SU)、チアゾリジン誘導体(TZD)など最も広く処方されている経口糖尿病治療薬と併用する治療薬としてビルダグリプチンを承認しました。ビルダグリプチンは、SUとの併用では50mgを1日1回、メトフォルミンまたはTZDとの併用では50mg を1日2回で使用されます。

なお,ビルダグリプチンは肝機能障害を有する患者さんへの使用を推奨しないこととしました。治療開始後は定期的な肝機能検査の実施が求められています。また、使用経験が乏しいことから,中等度・重度の腎機能障害患者、またはうっ血性心不全のある患者さんにも推奨しないこととしています。1型糖尿病の患者さんには使用が認められていません。100mgを1日1回ではなく50mgを1日2回にしたのは100mg1回投与による肝酵素上昇のためのようです。

ビルダグリプチンの問題点は、DPP-8,DPP-9といったDPP-4類縁酵素も阻害することです。ヒトはDPP-8/9といったDPP-4によく似た構造をもつDPPを持ち、それらの阻害は薬の副作用の原因のひとつとなっているからです。これらについてはまだ未解明の点が多く、今後の研究が待たれます。

2007年11月6日、Novartis(ノバルティス)社は、2型糖尿病の治療薬・ Galvus (vildagliptin) 100mg1日1回投与に比べてGalvus 50mg投与または50mgの1日2回投与の方が肝酵素上昇の頻度が少ないので、100mgの1日1回投与ではなく50mgの1日1回または1日2回投与 を推奨するようにヨーロッパのGalvusの添付文書を変更することを計画していると発表しました。

なお、米国FDAはビルダグリプチンに対する中等度以上、末期腎不全患者に対する追加試験を要請し、現在実施中。従ってエクアは米国では未発売である。試験は2010年度中に終了する予定。 現状ビルダグリプチンは中等度以上腎機能障害患者と末期腎不全患者に対して使用経験が少なく、日本国内添付文書でも慎重投与になっている。 これは、血中濃度が増加することが考えられるためで、この場合、国内ではエクア錠50mgを1日1回投与が望ましいとしている。

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