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SAVOR-TIMI 53試験における高齢者におけるサキサグリプチンの有効性と安全性

投稿日:04/07/2015 更新日:

SAVOR-TIMI 53試験における高齢者におけるサキサグリプチンの有効性と安全性

サキサグリプチン

サキサグリプチン

Efficacy and Safety of Saxagliptin in Older Participants in the SAVOR-TIMI 53 Trial

Diabetes Care. 2015 Jun;38(6):1145-53.

目的

SAVOR-TIMI試験における65歳以上の前期高齢者、75歳以上の後期高齢者を対象に高齢者を対象にサキサグリプチンの心血管に対する安全性を検討する。

方法

40歳以上の個人を対象(n=16492,前期高齢者8561人、後期高齢者2330人)HbA1c6.5%以上12%以下、二重盲検法でサキサグリプチン(2.5mg or 5mg/day)もしくはプラセボに割付。中央値2.1年。

結果

サキサグリプチンとプラセボのハザード比(CV死亡率,MI,脳梗塞の複合エンドポイント)は前期高齢者と非高齢者(65歳以下)で0.92対1.15(p=0.06)、後期高齢者が0.95であった。全コホート、前期高齢者コホート、後期高齢者後期高齢者コホートの2次エンドポイントは似通っていた。サキサグリプチンは全てのpopulationにおいて心不全による入院を増やしたけれども、前期高齢者、後期高齢者、それ以下によって年齢を原因とする薬剤相互作用は認められなかった。サキサグリプチンで治療を受けていてHbA1c7.6%以上の患者、各年齢層(前期高齢者、65歳以下、後期高齢者)の2年間のHbA1cのベースラインからの低下が-0.69%,-0.66%,0.66%であった。全有害事象と重症有害事象はサキサグリプチン群、プラセボ群で似通っていた。しかし、低血糖は全ての年齢層でサキサグリプチン群で多かった。

結論

年齢によらず心不全による入院リスクを増やすということはあれども、SAVOR-TIMI 53試験は多数の前期高齢者、後期高齢者におけるCV安全性を裏付けるものだ。高齢者におけるサキサグリプチンの血糖降下作用だけでなくAE,SAEは若年者におけるそれと似通っていた。サキサグリプチンの心血管安全性に一定の評価が下されたと言って良いだろう。オングリザは日本市場でも販売されている(協和発酵キリンが販売)。患者さん個々の実生活に即した投薬が求められる。

結果

6492人の患者はサキサグリプチン(n=8212),プラセボ(n=8280)に割り付けられた。51.9%が高齢者であった。中央値は71歳、14.1%は後期高齢者であった。女性が約3分の1であったが、特筆すべきことに後期高齢者の40%は女性であった。高齢者、後期高齢者は若年者に比べ体重が低かった。BMI30以上の人は前期高齢者、後期高齢者で少なかった。2型糖尿病の罹病期間は高齢者で長かったが、ベースラインの平均空腹時血糖は65歳未満が高かった。65歳未満は同様にHbA1c8%未満が少なく、同様にベースラインHbA1cが8%以上である割合は75歳以下が多かった。登録者の80%が高血圧症を合併しており、70%が脂質異常症を持っていた。高齢者は習慣的喫煙者が少なかった。eGFR50未満の腎機能低下は前期高齢者、後期高齢者で多かった。糖尿病薬、循環器薬は全群で広く使われていた。登録者の約40%はインスリン治療を受けており、それを継続した。ベースラインで75歳以下の約70%がメトホルミンが入っていた。75歳以上は57%であった。フォローアップ期間は各年代で同じようであった、サキサグリプチン群とプラセボ群のプライマリーエンドポイントのハザード比は前期高齢者0.92,若年者1.15,後期高齢者1.01であった。MI,心血管脂肪,非血管死亡は年齢で違いがなかった。65歳以下のArmがやや高かった。同様に、不安定狭心症による入院は65歳以下で多かった。心不全による入院は全群で多かった。心不全による入院はサキサグリプチン群が全年齢層で数の上で多かったが、treatment-by ageを示さなかった。低血糖も同様に年齢層で違いがなかった。2009年のADA,内分泌学会のポジションステートメントは、単剤でHbA1c7.6%以上なら併用療法を勧めた。ベースラインHbA1c 7.6%以上の患者で2年間サキサグリプチンを使用した者は-0.69%(65歳以上),-0.64%(65歳未満),-0.66%(75歳以上),-0.66%(75歳未満)であった。ベースラインが8%超でありながら一時的にせよHbA1c7%未満,6.5%以下を達成した率はFig.1各年代で有害事象で継続困難になった例は差がなかった(Table3)。

結論

2型糖尿病の前期高齢者、後期高齢者ともSAVOR-TIMI53のごとくサキサグリプチンの使用で虚血性心疾患になることはないが、プラセボに比べて優れていたわけではない。また、心不全による入院は同様にあり、年齢層に関係はなかった。2型糖尿病の患者数は全世界的に増加していて、高齢者の割合が増えている。それにもかかわらず、高齢者における糖尿病の大規模臨床試験のエビデンスは乏しい。大方のスタディで高齢者が省かれているからだ。だからより壮健な若い人の臨床試験から推定するしかない。よって、最近FDAとEMAが大規模臨床試験に高齢者も入れるように命じたのだ。最近、ACCORD studyの研究者が、高齢の糖尿病患者は若年者よりも高血糖を起こしやすいが、強化療法群がCVリスクが上がるわけではないと報じた。このことは個々人に合わせた治療の重要性を裏付ける。現在のFDAの勧告では、DPP-4阻害薬は第一選択薬のひとつである。今でも、低血糖の少なさ、体重が増加増えないこと、認容性が高いことが評価されている。2つのスタディがDPP-4阻害薬とCVリスクの抑制を示唆している。しかし、重要なことにこれらは小規模、短期間、若くて健康な方のスタディである。SAVOR-TIMI53は国をまたいだ二重盲検大規模臨床試験で、サキサグリプチンの血糖降下作用を超えた作用を追求したものである。40代から90代まで、腎機能の良い人から悪い人まで、脂質の薬・心臓の薬を飲んでいる人まで包含していた。特筆すべきことに、インスリン使用量が各年齢層でほとんど変わらなかったにもかかわらず、ベースラインの血糖コントロールは高齢者がむしろ良かった。今回のスタディでは前期高齢者、後期高齢者でサキサグリプチンの使用で虚血性心疾患の発症に結びつかなかった。以前報告された心不全による入院の増加が全年齢層で統計学的に有意であったが、年齢は関係ないのである。サキサグリプチンでの体重増加はない。低血糖は僅かにサキサグリプチン群で多かったが、バックグラウンドのSUでも起きた。年齢層にかかわらず安全なことが島されたのが重要である。単剤でも追加でも、インスリン併用でも。リナグリプチンは同様に70歳以上に同様の安全性、認容性があると報告されている。しかし、24週間のフォローアップではそれ以上の期間のデータを取るのが難しいとわかった。リナグリプチン、グリメピリドの比較のCARMELINA試験がもうすぐ出る。ビルダグリプチンの安全性は若年者より高齢者のほうが有害事象が少ないのであった。最近、ビルダグリプチンを高齢者に足したほうがSUを足すよりも低血糖が少なく追加できると報告された。数字の上でのSAVOR-TIMI53のHbA1c,FPG低下は慎ましいものであったが、効果は十分なものであった。

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