ヒト軟骨細胞における細胞外マトリックスのTNF-α誘導分解に対するアログリプチンの保護作用
Protective effects of alogliptin against TNF-α-induced degradation of extracellular matrix in human chondrocytes.
Int Immunopharmacol. 2019 Jan 14;68:179-184.
変形性関節症(OA)は、世界中の高齢者の間で最も一般的な衰弱性疾患である。関節細胞外マトリックスの過度の分解は、OAの発症における極めて重要な事象である。関節細胞外マトリックスの2つの主要成分であるⅡ型コラーゲンおよびアグリカンの破壊に対する予防的処置は、OAの進行に対する新規な治療法として役立ち得る。現在の研究では、我々はDPP-4阻害薬アログリプチン(ネシーナ)がヒト初代軟骨細胞における関節細胞外マトリックスの分解を予防できるかどうかを調べた。アログリプチンでの前処理は、TNF-αでの処理によって誘導されるMMP-1、-3、およびMMP-13、ならびにADAMTS-4およびADAMTS-5の発現増加を減少させることによって、用量依存的にⅡ型コラーゲンおよびアグリカンの分解を首尾よく防止した。さらに、アログリプチンによる前処理はまた、ヒト初代軟骨細胞において、TNF-α誘導性のIKKα/β、IκBαおよびNF-κBの発現を減少させた。これは、アログリプチンなどのDPP-4阻害薬が、OAにおける関節細胞外マトリックスの継続的な破壊に対する有効な予防的療法として使用され得ることを示唆している。