ジャヌビア・スーグラの合剤でスージャヌ。
アステラスが開発したSGLT2阻害薬スーグラ (イプラグリフロジン)は現在のところ日本市場専用である。日本では最初に発売されたSGLT2阻害薬で、他のライバル(2番手はダパグリフロジン)に1ヶ月ほど先行したこともあり、現在でもトップシェアを維持している。MSD,寿がco-promotionしている。船橋市の糖尿病患者さんの中には、両剤併用療法の方が大勢いらっしゃいます。合剤のメリットは大きい。
この協業相手のMSDが持つDPP-4阻害薬シタグリプチン (MSDよりジャヌビア、小野薬品工業よりグラクティブの名で発売)とイプラグリフロジンの合剤を作る計画が俄かに現実味を帯び始めた。MSDとアステラス製薬は15日、シタグリプチンとイプラグリフロジンの配合剤を共同で開発・販売することで基本合意したと発表した。開発時期などについては、今後詰める方針とされている。
両剤の併用に問題がないことはすでに下記の論文で報告されている。
No pharmacokinetic interaction between ipragliflozin and sitagliptin, pioglitazone, or glimepiride in healthy subjects.
Smulders RA, Zhang W, Veltkamp SA, van Dijk J, Krauwinkel WJ, Keirns J, Kadokura T.
Diabetes Obes Metab. 2012 Oct;14(10):937-43.
今回は協業相手同志の合剤という、珍しい組み合わせである。
DPP-4阻害薬とSGLT2阻害薬の両者を自社で持つ田辺三菱製薬は当然合剤を考えている。
MT-2412:テネリグリプチン、カナグリフロジンの合剤 現在、日本でフェーズ3である。teneligliptin / canagliflozin
同様に、トラゼンタ (Linagliptin)と ジャディアンス (Empagliflozin)の両剤を持つベーリンガーインゲルハイムも同様の考えを持っている。先日ご紹介した、トラゼンタとジャディアンスの併用療法の記事に詳しい。Diabetes Care 3月号である。これは既にGlyxambi®としてFDAに承認されている。日本では2018年にトラディアンス配合錠として発売される。
Combination of Empagliflozin and Linagliptin as Second-Line Therapy in Subjects With Type 2 Diabetes Inadequately Controlled on Metformin
Diabetes Care 2015;38:384-393
このように、様々な合剤が世に出てくる。
2018年追記:スーグラとジャヌビアの合剤ということで、スージャヌ配合錠が発売された。
このように、DPP-4阻害薬とSGLT2阻害薬の合剤が複数ある状態になり、患者さんの選択肢が広がってきた。歓迎したい。