メトホルミン

メトホルミンは膵臓癌の生存期間を延長せず

22/04/2015

メトホルミンは膵臓癌の生存期間を延長せず

メトホルミン

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発売から50年以上が過ぎても新たな発見が相次ぐメトホルミンであるが、残念ながら膵臓癌患者の延命効果は認められなかった。

Metformin Use May Not Improve Pancreatic Cancer Survival

米国癌学会(AACR)は4月21日、メトホルミンで膵管腺癌(PDAC)患者の生存期間が延長できなかったことを示す後ろ向きコホート研究を発表した。

現在までに行われてきた複数の疫学研究で報告されてきた効果のなかに、メトホルミンと膵臓癌を含めたさまざまな癌の死亡リスク低下との関連性があり、膵臓癌患者の延命効果についても期待されていた。

今回の後ろ向き研究では、メトホルミンの使用と生存期間について包括的に評価がなされている。メイヨークリニックの膵臓癌領域特定優良研究プログラム(SPORE)のPDAC患者1360人のデータからメトホルミンの使用状況により、使用していない群からPDACと診断後30日以上経過してから使用開始した群まで5群に分けられたうえで、生存期間が比較検討されている。

結果であるが、メトホルミンを使用していない患者の生存期間の中央値は308日間だったの対し、使用している患者では292日間で、統計的差異は認められなかった。また、診断後30日以上経過してから使用開始した群の生存期間が818日間と最長であった。研究者はこの結果を、「患者群に固有の生存バイアスがあることを示唆しているが、それを考慮してもメトホルミンの効果は確認できなかった」と解説している。

メイヨークリニック癌センターのRoongruedee Chaiteerakij氏は、「投薬治療と癌生存期間に対する研究では、かなり慎重になって詳細なデータを収集するのは当然のことだが、後ろ向き研究計画ではそれが必ずしも可能なわけではない」と述べたうえで、「今回の研究は、後ろ向き研究の適切な計画の重要性と確かな理論的根拠のある前向き研究の必要性を浮き彫りにしている」と指摘している。

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