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血糖測定 検体測定室連携協議会が発足

29/05/2015

検体測定室連携協議会が発足

 検体測定室連携協議会

検体測定室連携協議会

2015年5月27日、検体測定室連携協議会が発足した。薬局などで指先から微量の血液を採取して、糖尿病の可能性を判定するムーブメントを主導するものである。糖尿病の初期には自覚症状がない。それゆえ早期発見が難しいのが実情だ。

日本で糖尿病が強く疑われる人は男性の6人に1人、女性の10人に1人とされる。ところが、現在40歳以上が対象の特定健診(メタボ健診)の受診率は全国で3割程度と低く、健診だけでは糖尿病の疑いがある人を十分、見つけ出すのは難しい。

そんな中、日常生活の中で患者が自ら早期に糖尿病である自分を見つけて、早い段階で治療を始められるようにする目的がある。最終的には脳梗塞や心筋梗塞などで医療費が嵩むリスクを下げることにつなげる。そんな意欲的な取り組みだ。早期発見の新拠点として定着するか、注目を集めている。 糖尿病を薬局で早期発見するための意欲的な試みである。このような意欲的な取り組みを歓迎したい。

国の規制緩和を受け、全国の薬局など約1000か所に広がっている検体測定室というものがあるのをご存知だろうか。測定室は昨年度から規制緩和で薬局に設けられるようになった。“治療から予防へ”という国の政策を受けて昨年3月、薬局などでの開設が解禁されたのだ。これを使って血糖測定を促し、糖尿病のの早期発見のために役立てようという試み。それを推進する、「検体測定室連携協議会」が発足した。5月27日、東京都内で設立発表会が開かれた。測定室を備えた薬局の開設や運営を支援するものである。今後3年間で検体測定室を約5000か所にまで増やし、毎年90万人が検査を受けることを目指すようである。日本には多数の糖尿病患者さんがいるので、糖尿病を専門とする医師、そのような糖尿病患者さんを多く抱える薬局もぜひ参加してほしいものである。

では、なぜ足立区なのか?

東京都足立区は23区の中で糖尿病の医療費が高いという、背に腹は代えられない事情がある。筑波大学の矢作直也准教授が、2010年10月から足立区の薬局10店舗で始めた臨床研究である。

同様に、糖尿病ワーストワンで悪名高い徳島県は全国で糖尿病がもととなった死亡率が最も高い。このため、薬局の指先検査で糖尿病を早期発見する臨床研究に乗り出した。今年3月に終わり、合計4724人が検査を受けた。その結果をみると医療機関の受診を勧められる6%以上の人は1175人と約4人に1人にのぼったという。 12年10月からは徳島県の薬局も同様に開始した。

被測定者は自ら指に針を刺し、微量の血液を採取する。薬剤師などが測定装置でHbA1cを測定する。数値が高く糖尿病の疑いがある人には薬剤師が病院の受診を勧める。

現在、測定室を設けた薬局が多いのは石川県や佐賀県、東京都などで、1カ所もない県もあるようだ。同協議会はこの検査が受けられる薬局の場所が分かるスマートフォンなど向けのアプリも今夏までに公開する方針だ。

使い勝手の良いアプリがリリースされることは全ての患者さんの利益になる。全国の糖尿病患者さんの利益のためにも、ぜひそういった取り組みを推進してほしいものである。

我が国では間もなく糖尿病患者1,000万人突破を迎える。それは不可避であろうが、糖尿病未満の耐糖能障害を早めに見つけて対処する今回の取り組みは素直に評価したい。

-SMBG