SGLT2

SGLT2阻害薬と利尿剤の併用の是非

26/10/2016

SGLT2阻害薬と利尿剤の併用の是非について

SGLT2

併用は危険?

発売当初はとても厳しい言われようで、とてもできる環境ではなかったSGLT2阻害薬と利尿剤の併用。現在でも、原則は利尿剤とSGLT2阻害薬の併用は避けたほうが良いというのがコンセンサスであることに変わりはない。

先日、JSH2016で「SGLT2阻害薬の降圧はループ利尿作用による」と旭労災病院の木村玄次郎先生が発表された。「サイアザイド系利尿薬や抗アルドステロン薬との併用は原則禁忌と考えて併用を避ける」とおっしゃっている。(上記NMO記事から転載)

近位尿細管の先にあるヘンレ係蹄部でのNa再吸収はCl濃度に強く依存するため、SGLT2阻害薬によって管腔内のCl濃度が低下した結果、ヘンレ係蹄でのNa再吸収も抑制される。これは、ループ利尿薬を投与した状態と同様であり、SGLT2阻害薬は間接的にループ利尿の作用を発揮すると見なすことができる。SGLT2阻害薬による降圧は、このループ利尿作用が主に寄与しているとみられる。
既存のループ利尿薬に比べたNaの再吸収抑制作用は8分の1程度にとどまるものの、既報のメタ解析ではSGLT2阻害薬の種類にかかわらず収縮期3~4mmHg、拡張期1~2mmHgの降圧が認められており、降圧作用は低用量のサイアザイド系利尿薬に匹敵する。

夏場に、ARB/サイアザイド合剤を内服している患者さんのサイアザイドを減らして(ARB単剤に変更する)、利尿剤としてSGLT2を入れたら過度の利尿もなく、血圧も血糖も良くなった、という症例が何例かあった。間違っていなかったということか。

患者:60代歳男性

現病歴:8年前に2型糖尿病、高血圧症と診断された。肥満と過食、運動不足がベースにある。食事療法・運動療法は不十分で、HbA1cは長期にわたり8%台が続いていた。降圧剤はARB、/サイアザイド合剤とカルシウム拮抗薬を併用しており、収縮期血圧130mmHg程度にコントロールされていた。

サイアザイドを切ってSGLT2を追加した症例

サイアザイドを切ってSGLT2を追加した症例

グラクティブ®だけでは血糖改善が不十分。食欲を増進させないため、DPP-4阻害薬にSGLT2阻害薬を上乗せすることを考えた。
しかし、既に利尿剤を使用しているためミコンビ®BP (テルミサルタン80mg/HCTZ 12.5mg)をミカムロ®BP(テルミサルタン80mg/アムロジピン5mg)にしてサイアザイドをOFFして、ジャディアンス®10mgを追加した。

HCTZを切ってジャディアンスと置換

HCTZを切ってジャディアンスと置換

血圧もコントロールでき、血糖コントロールも改善した。夏場だったので水分摂取は励行した。
「SGLT2阻害薬は血糖も良くする奇跡の降圧利尿剤だ。でも注意して使ってね。」
と言えるだろう。

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