DPP-4

TECOS試験でシタグリプチンの心不全リスクが否定された

10/06/2015

TECOS試験でシタグリプチンの心不全リスクが否定

tecos study 心不全

tecos study 心不全

かねてから注目されていたThe Trial to Evaluate Cardiovascular Outcomes after Treatment with Sitagliptin:TECOS試験の結果がADA75で発表になった。

結論から言えば、シタグリプチンを通常治療と併用しても,通常治療のみ(通常治療とプラセボを併用)と比べ心血管イベントのリスクが上昇することはない。心不全による入院は増加しない。その他の有害事象も増加しない。複合心血管イベント発生のリスク解析で非劣性。感染症、腎不全、悪性腫瘍、重症低血糖等のリスク上昇はない。急性膵炎はシタグリプチン群で多い傾向にあったが、有意差はなかった。膵癌はシタグリプチン群で少ない傾向が認められたが有意差なし。
これまで、膵炎膵癌は色々言われて来たが、これで一応の決着だ。

tecosはベネフィット満載といった華々しい結果ではないが、悪くない結果だ。

DPP-4阻害薬の心血管リスクと膵炎・膵癌の問題に関しては、サキサグリプチンによるSAVOR-TIMI 53試験、アログリプチンによるEXAMINE試験、今回のTECOSで結果が同様であることから、その評価はほぼ確立したといえる。心不全リスクについては様々な議論が残るが、ハイリスクな患者を含める・含めないなど、試験デザインに左右されている要素が大きい。大筋で問題はないといえる。シタグリプチンを使用している糖尿病患者さんは多い。その方々にとっても今回の結果は朗報だ。これからも安心してシタグリプチンを使用できる。

-DPP-4