バイオシミラーで富士フイルム・協和発酵キリンがアストラゼネカと提携
富士フイルムと協和発酵キリンは2012年、折半出資で協和キリン富士フイルムバイオロジクスを設立し、現在2種類のバイオシミラーの開発に取り組んでいる。日本企業はバイオシミラーの開発で他国に遅れを取っているので富士フィルムには頑張って欲しい。バイオシミラー使用促進議員連盟も「時間との戦いだ」と激励している。
7月25日日本経済新聞朝刊
7月24日、富士フイルムと協和発酵キリンが発表した。
両社の共同出資会社が開発中のバイオ後続品で、英アストラゼネカと提携すると発表した。欧州で臨床試験の第1段階を実施している大腸癌・肺癌治療に使う抗がん剤アバスチン(ベバシズマブ)のバイオシミラーの開発で、AZと提携する。協和キリン富士フイルムとAZは年内に、4500万ドル(約56億円)ずつ出資して英国に合弁会社を設立する。協和キリン富士フイルムは新会社に開発権を移し、一時金として4500万ドルを受け取る。AZは抗がん剤の開発や販売のノウハウが豊富で、早期の製品化につなげる。新会社はベバシズマブの特許が切れる2018-19年の発売を目指している。AZ側と開発コストを分担する狙いもある。
協和キリン富士フイルムは関節リウマチや潰瘍性大腸炎などの治療に使うヒュミラ(アダリムマブ)のバイオシミラーも開発している。糖尿病患者さんのみならず、他の疾患にも影響のある話である。現在までの流れでは、富士フィルム・協和発酵連合が取り組んでいるバイオシミラーは2つである。しかし、糖尿病屋としてはこの組み合わせを見ると糖尿病アライアンスに思いを馳せざるを得ない。協和発酵とアストラゼネカはサキサグリプチン(オングリザ)でつながりがある。富士フィルムはグラルギンのバイオシミラーを開発している。今後、この3社のバイオシミラー連合に富士フィルムのグラルギンが加えられる可能性があるだろう。アストラゼネカがバイエッタ・ビデュリオン、フォシーガに加えて(富士フィルムの)グラルギンのバイオシミラーを併売する日が来るかも知れない。
日本市場においては8月に日本イーライリリーがグラルギンBSリリーを発売する。日本ベーリンガーインゲルハイムとの糖尿病アライアンスで売るが、9月に同社が発売するトルリシティはベーリンガーではなく大日本住友と組むなど、糖尿病治療薬のアライアンスは複雑怪奇である。あとはフォシーガを併売している小野薬品がどう動くかだろう。シタグリプチンをMSDと日本市場で併売している小野薬品だが、MSDと共同で進めていたJanumet(シタグリプチン・メトホルミン合剤)の日本市場導入2013年に中止されてから、アライアンスの進展がないようだ。MSDが今後発売するweekly dpp-4iのオマリグリプチンの小野薬品の併売はない。小野は今後BMS/AZ連合に向かうのだろうか。いずれにせよ、糖尿病患者さんの治療の選択肢が広がることはとても良いことである。