SGLT2

EMPA-REG OUTCOMEを考える

06/09/2015

エンパグリフロジンの効果 EMPA-REG OUTCOMEを考える

Empagliflozin Reduces Blood Pressure in Patients With Type 2 Diabetes and Hypertension
Diabetes Care 2015; 38:420-428

エンパグリフロジンの血圧に及ぼす効果

EMPA-REG OUTCOME に先立って出た論文。

目的

高血圧症を合併した2型糖尿病に対するエンパグリフロジンの効果、安全性、認容性を検討する。

方法

高血圧症を合併した2型糖尿病(N=825)、平均収縮期血圧は130-159mmHg、平均拡張期血圧は80-99mmHgを二重盲検法でエンパグリフロジン10mg,25mg,プラセボに割付、12週間フォロー。

結果

12週でベースラインからの24時間血圧の平均収縮期血圧は-3.44mmHg (empa 10mg),-4.16mmHg (empa 25mg),であった。-1.36 mmHgであった。平均拡張期血圧は-1.36 mmHg(empa 10mg),-1.72 mmHg(empa 25mg)であった。オフィスでの血圧はABPMと同様だった。ベースラインからの12週間のHbA1c変化はプラセボと比較して-0.62% (empa 10mg) ,-0.65%
(empa 25mg)。エンパグリフロジンの認容性は良好であった。プラセボ1例とエンパグリフロジン10mgに脱水症がみられた。

結論

エンパグリフロジンはプラセボと比較して、2型糖尿病と高血圧症の患者が血圧とHbA1cを改善するのに有効である。

本文

糖尿病患者の生涯心血管イベントは67-68%である。糖尿病患者の管理は血糖コントロールのみならず、その他の心血管リスクを包括的に管理せねばならない。糖尿病患者の薬2/3は高血圧であり、心血管イベントに有意に相関する。血圧コントロールは糖尿病患者の心血管イベントを抑制するとともに腎障害も抑制することが示されている。JNCガイドライン2003はBP130/80 mmHg以下を推奨している。最近、140/90未満に改訂されている。糖尿病患者の血圧管理は困難であるため、降圧剤の併用療法が推奨されている。

SGLT2阻害薬エンパグリフロジンはβ細胞機能、インスリン抵抗性に依存せず血糖を改善する。エンパグリフロジンは血糖改善だけではなく体重減少、収縮期血圧・拡張期血圧の改善をもたらす。

方法

EMPA-REG BPのプライマリーエンドポイントはエンパグリフロジン10mg,25mgの12週間における血圧、血糖コントロールへの効果を検討するのと、高血圧合併2型糖尿病患者に対する安全性忍容性をみることである。

患者の特徴

 

Table1

高血圧合併2型糖尿病患者 SBP 130-159mmHg,DBP 80-99mmHg、年齢18歳以上、BMI45以下、HbA1cは7から10%。降圧剤は2剤まで内服することを求められた。糖尿薬は食事運動療法でドラッグナイーブ、もしくはランダマイズ前に休薬12週以上、ピオグリタゾンは16週以上投与していないか、であることを求められた。投与されていた人はランダマイズの12週以上、ピオグリタゾンは16週以上前から変更していない。除外基準は血糖13.3mmol/l, SBP>160,DBP≧100mmHg, eGFR<60
デザイン
患者はABPMで良好な値を示した者が3群に1:1:1で割付られた。12週間、二重盲検法。患者は前もって2週間の試験内服(降圧剤、糖尿病薬)をした。

結果

プライマリーエフィカシーエンドポイントは12週間でのベースラインからのHbA1c変化である。co-primaryエンドポイントは12週でのベースラインからの24h SBP、セカンダリーエンドポイントは12週でのベースラインからの24h DBP。その他のセカンダリーエンドポイントは12週でのベースラインからのFPG,BW,夜間のABPM,日中の勤務時間内の座位血圧。追加エンドポイントはレスキュー投薬の使用(ベースラインよりも糖尿病薬増量、インスリンはベースラインより10%以上増量)。

2011年6月から2012年7月まで、825人の高血圧合併糖尿病患者がランダマイズされ、824名が治験薬を受けた。

12週の24h ABPMにおける収縮期血圧及び拡張期血圧はFig 1A,B.のごとくで、10mg,25mgともプラセボと比較して有意に下がっているFig.1C,D.12週での24時間平均血圧は両群でプラセボより有意に下がっている(Table2)。勤務時間内の座位血圧は10mg,25mgでプラセボより有意に下がっている Fig.1E,F.夜間血圧は25mgしか有意に下げなかった(Table2).

血糖コントロールと体重変化
ベースラインからのHbA1c低下、FPG低下はプラセボよりも10mg,25mgで有意に下がった Fig.2A.血糖コントロールが悪化してレスキューをしたのは各々2.6%,1.4%,2.9%であった。体重減少は エンパグリフロジン群でプラセボ群より明らかに多かった(Fig.2B).

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