エンパグリフロジンがもたらした正の行動変容
heart diseaseSGLT2阻害薬でよく言われる、「減量できた、やったね!」で自己評価が上がり、「オレもやればできる!」となって、やる気スイッチが押され、薬効以上に血糖コントロール改善、減量、血圧改善などすべてが順調に回り出す。そんな素晴らしい症例が船橋市の糖尿病患者さんのなかにいらっしゃる。
患者:50代男性
現病歴:10年前に2型糖尿病と診断され、経口糖尿病薬にて加療していた。肥満と過食、運動不足がベースにある。
食事療法・運動療法ができずHbA1cは長期にわたり10%台が続いてきた。GLP-1受容体作動薬が発売された後、食欲抑制・体重減少目的での使用を何度か勧めたが注射薬は受け入れ難いとのことで、血糖コントロールが悪いまま経過していた。内服薬ながら体重減少作用のあるSGLT2阻害薬を使用を提案した。
随時血糖372mg/dlと高値だが、血清Cペプチドが高く、尿中ケトン陰性のため内因性インスリン分泌は十分と考えた。SGLT2阻害薬を使用して尿からのブドウ糖排泄を促進し、血糖を低下させることが糖毒性の解除、インスリン抵抗性の改善につながると考た。従来処方していたグリメピリド2mgを1mgに減量、ジャディアンス®10mgを追加した。夏場のため水分を平時プラス1.5Lは必要、まとめて摂るのではなく少量ずつこまめに摂るようお願いした。
切り替え2ヶ月後体重は94Kg→92Kgと2kg減量した。
HbA1cは11.8%→9.9%と約2%改善した。
「減量できた、やったね!」で自己評価が上がり、「オレもやればできる!」となって、やる気スイッチが押され、薬効以上に血糖コントロール改善、減量、血圧改善などすべてが順調に回り出した。まさにそんな症例でした。「正の行動変容」というやつです。