1型糖尿病の症状は、インスリン不足による高血糖と、細胞がエネルギー源を利用できない状態に起因します。症状の現れ方は発症タイプによって異なりますが、急性発症型では数日〜数週間で急激に症状が進行します。
代表的な初期症状
1. 多飲(のどの渇き)
血糖値が上昇すると、腎臓が過剰なグルコースを尿中に排泄しようとします。この際、水分も一緒に排出されるため、体内の水分が不足し、強い渇きを感じます。
2. 多尿
高血糖により腎臓の尿細管でグルコースの再吸収が限界を超えると、浸透圧利尿作用により尿量が増加します。夜間頻尿もよく見られます。
3. 体重減少
インスリン不足により細胞がグルコースを取り込めず、代わりに脂肪や筋肉を分解してエネルギーをおうとします。食欲があるにもかかわらず体重が減少するのが特徴です。
4. 全身倦怠感・疲労感
細胞がエネルギー源であるグルコースを利用できないため、全身の倦怠感や疲労感が現れます。
5. 視力低下
高血糖により水晶体が膨潤し、屈折率が変化することで視力が低下することがあります。血糖コントロールが改善すれば回復します。
緊急を要する症状(ケトアシドーシス)
インスリン不足が進行すると、脂肪分解によりケトン体が蓄積し、血液が酸性に傾きます。これを糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)と呼び、救急対応が必要な重篤な状態です。
ケトアシドーシスの症状
- 吐き気・嘔吐
- 腹痛
- 口唇の乾燥・強い渇き
- 深くて速い呼吸(クスマウル呼吸)
- 呼気にアセトン臭(果実様の匂い)
- 意識障害(傾眠〜昏迷〜昏睡)
これらの症状が現れた場合は、直ちに救急医療機関を受診してください。
発症タイプによる症状の違い
急性発症型
数日〜数週間で上記の症状が急激に現れ、ケトアシドーシスを伴って発症することが多いです。小児・若年者に典型的なパターンです。
緩徐進行型(LADA/SPIDDM)
数ヶ月〜数年かけて徐々にβ細胞機能が低下します。初期には2型糖尿病と似た経過をたどり、経口薬が有効なこともあります。最終的にインスリンが必要になります。
劇症1型糖尿病
数日以内に急激に発症し、ケトアシドーシスを伴います。発症時のHbA1cがほぼ正常なのが特徴で、日本に多い亜型です。前駆症状(感冒様症状)を伴うことがあります。
子どもにおける注意点
小児の1型糖尿病では、以下のようなサインに注意してください。
- おねしょが再開した( previously toilet-trained )
- 学校の成績が急に下がった(集中力・注意力の低下)
- 体重が減っている、または成長曲線から外れた
- 水をよく飲む、トイレの回数が増えた
- 元気がない、遊びたがらない
これらのサインに気づいた場合は、速やかに医療機関を受診してください。
症状から診断まで
上記の症状が現れた場合、医療機関では以下の検査が行われます。詳細は診断・検査のページをご確認ください。
- 空腹時血糖値・随時血糖値
- HbA1c
- 尿糖・尿ケトン
- 自己抗体(抗GAD抗体など)
- Cペプチド値(インスリン産生能の評価)
診断後の治療
1型糖尿病と診断された場合、直ちにインスリン療法が開始されます。詳細は以下のページをご確認ください。
- インスリン療法(基礎):複数回注射法(MDI)の基本
- インスリンポンプ療法:CSII(持続皮下インスリン注入)
- CGM:持続血糖モニタリング
よくある質問
1型糖尿病の最初の症状は何ですか?
最も一般的な初期症状は、のどの渇き(多飲)、尿の回数増加(多尿)、体重減少、全身倦怠感です。これらの症状が数日〜数週間で急激に現れる場合は、速やかな受診が必要です。
ケトアシドーシスとは何ですか?
ケトアシドーシスは、インスリン不足により脂肪が分解されケトン体が蓄積し、血液が酸性に傾く重篤な状態です。吐き気・嘔吐・腹痛・意識障害を伴い、救急対応が必要です。
1型糖尿病の症状は2型とどう違いますか?
1型糖尿病は数日〜数週間で急激に症状が現れ、体重減少やケトアシドーシスを伴うことが多いです。2型糖尿病は数年〜数十年かけて緩徐に進行し、初期には自覚症状がない場合も多いです。
子どもが1型糖尿病になった場合、どんな症状に注意すべきですか?
お子さんの場合、おねしょが再開した、学校の成績が急に下がった(集中力低下)、体重が減っている、水をよく飲むなどの症状に注意してください。これらは1型糖尿病の初期サインの可能性があります。
症状がないまま1型糖尿病と診断されることはありますか?
緩徐進行型(LADA/SPIDDM)の場合、初期には症状が軽微で、健康診断で血糖値の異常を指摘されて初めて診断される場合があります。ただし、大多数の1型糖尿病では何らかの症状が現れます。
関連ページ
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