CGM(持続グルコースモニタリング)とは?種類・比較・活用方法【1型糖尿病】

CGM(Continuous Glucose Monitoring:継続的グルコースモニタリング)は、皮下組織間液のグルコース濃度を継続的に測定し、24時間の血糖変動をリアルタイムで把握するデバイスです。1型糖尿病の血糖管理において、従来の指先採血(SMBG)を補完する重要なツールとして位置づけられています。

CGMの仕組み

CGMセンサーは皮下組織間液に挿入され、グルコース濃度を電気化学的に測定します。測定値は数分ごとに記録され、スマートフォンや専用リーダーに送信されます。

  • 測定対象:皮下組織間液のグルコース(血糖値とは数分〜15分のタイムラグあり)
  • 測定間隔:1〜5分ごと
  • データ表示:リアルタイム血糖値、トレンド矢印、24時間グラフ

主要CGMデバイスの比較

主なCGMデバイスの比較(国内で使用されている機種)
項目 FreeStyleリブレ2 Dexcom G7 Medtronic Guardian 4
センサー寿命 14日間 10日間 7日間
キャリブレーション 不要 不要 不要
アラート機能 高低血糖アラート 高低血糖アラート 高低血糖アラート
リアルタイム送信 対応 対応 対応
防水 対応 対応 対応
保険適用 あり あり あり
ポンプ連携 — — MiniMed 780G

国内でポンプ連携(AID)として使える組み合わせは限られています。利用できる組み合わせは主治医にご確認ください。

CGMのメリット

  • 24時間の血糖変動の把握:食後高血糖、夜間低血糖、暁現象などを詳細に把握可能。
  • 低血糖・高血糖の早期検出:アラート機能により、重篤な低血糖や高血糖を未然に防ぐ。
  • 血糖トレンドの確認:トレンド矢印により、血糖値が上昇・下降・安定しているかを把握。
  • 指先採血の削減:CGMにより指先採血の回数を大幅に削減可能。
  • TIR(Target Range Time)の評価:血糖値が目標範囲内にある時間の割合を評価し、血糖管理の質を改善。

TIR(Target Range Time)

CGMデータから算出される重要な指標です。

CGMから算出される指標と目標値
指標 対象範囲 目標値
TIR(Time in Range) 70〜180 mg/dL 70%以上(1日あたり約17時間)
TBR(Time Below Range)Level 1 70 mg/dL未満 4%未満(1日あたり約1時間)
TBR Level 2 54 mg/dL未満 1%未満(1日あたり約15分)
TAR(Time Above Range)Level 1 180 mg/dL超 25%未満(1日あたり約6時間)
TAR Level 2 250 mg/dL超 5%未満(1日あたり約1時間)
CV(変動係数) 血糖値の変動の大きさ 36%以下

TIRの向上は、合併症リスクの低減と関連することが示されています。また、変動係数(CV)が36%を超えると低血糖のリスクが高まることが報告されています。

保険適用

CGMは、一定の要件を満たす場合に保険適用となります。

  • インスリン療法実施中であること
  • 血糖コントロールが不十分な場合
  • 頻回な低血糖エピソードがある場合
  • 妊娠中の血糖管理が必要な場合

具体的な要件は医療機関にご確認ください。

CGMとインスリンポンプの連携(SAP療法)

CGMとインスリンポンプを連携させるSAP(Sensor-Augmented Pump)療法により、リアルタイムの血糖値に基づいてインスリン注入を調整できます。さらに進化したハイブリッドクローズドループシステムでは、CGMの血糖値に応じてポンプが自動的に基礎注入量を調整します。

CGMの限界・注意点

  • タイムラグ:皮下組織間液のグルコースは血糖値より数分〜15分遅れる。血糖値が急激に変化している場合、CGM値と血糖値に差が生じる。
  • センサーの装着感:違和感や皮膚トラブルが起こることがある。
  • キャリブレーション:現在国内で使用されている主なセンサー(FreeStyleリブレ2・Dexcom G7・Guardian 4)は校正不要です。機種によっては指先採血による校正が必要な場合があります。
  • コスト:センサーの交換頻度に応じたコストがかかる。

センサーの装着部位と日常生活の工夫

CGMセンサーは、機種ごとに装着できる部位が決められています(上腕の後面、腹部など)。装着の手順は取扱説明書と医療機関の指示に従うことが前提ですが、生活の中での負担は、部位の選び方と服装の工夫である程度やわらげることができます。

  • 装着部位は機種の指定範囲の中で選ぶ:複数の部位が認められている機種では、普段の服で隠れやすい位置、寝るときに圧迫しにくい位置を選びます。どの部位が合うかは、実際に装着した状態を見ながら主治医や指導担当者に相談できます。
  • 服は「隠す」よりも「負担を減らす」視点で選ぶ:袖のある服や上着で自然に隠れることが多く、特別な服装は必要ありません。締め付けの強い袖口やベルトは、センサーを圧迫して装着位置がずれる原因になることがあります。
  • センサーの上に重ねる物は取扱説明書の範囲で:固定用のテープやカバーを使う場合も、機種ごとに使える物と使えない物があります。覆うと汗で蒸れやすくなるため、取扱説明書とメーカーの案内を確認してください。
  • 入浴・プール・運動は防水の条件を確認する:防水性能は機種ごとに異なり、時間や深さの条件も決められています。長時間の入浴やサウナ、激しい運動の前に、取扱説明書で条件を確認しておくと安心です。
  • 「人に気づかれるか」が気になるのは自然なこと:CGMは治療のための医療機器であり、装着していることを周囲に説明する義務はありません。どこまで話すかは自分で決めてよいことです。

機種ごとの装着部位・センサー寿命・防水性能の違いは、「主要CGMデバイスの比較」の表で整理しています。

装着したまま眠るとき(睡眠とCGM)

  • 装着部位を下にして寝ると、実際より低く表示されることがある:センサー部が体重で圧迫されると、実際の血糖より低い値が表示されることがあります(圧迫による見かけの低下)。体位を変えると戻ることが多く、装着部位を変えることでも減らせます。
  • 低い値が出たときは、症状と指先採血で確かめる:見かけの低下と実際の低血糖は、表示だけでは区別できません。症状があるとき、低血糖が疑われるときは指先で測って確認し、対応します。
  • 夜間のアラームは「切る」ではなく「設定を相談する」:低血糖アラームは、眠っている間の低血糖に気づくために重要です。鳴りすぎて眠れない場合は、しきい値や種類を主治医と相談して調整します。自分だけでオフにすると、夜間低血糖を見逃すことにつながります。
  • 睡眠が妨げられているときは、その負担自体を診察で伝える:アラームで起きる回数が多い、寝つきが悪い状態が続くときは、治療の調整で改善できることがあります。日中の眠気や疲れが強いときも診察で相談してください。

低い値への対応は低血糖の症状と対応、指先での測定のコツは血糖測定器(SMBG)で解説しています。

肌トラブルを防ぐために

  • 貼る前に皮膚を清潔で乾燥した状態にする(汗・ローション・保湿剤が残っていると、貼りつきが弱くなり、かぶれの原因にもなります)
  • 剥がすときはゆっくり行う(強く引っ張ると皮膚を傷つけます)。かゆみや赤みが出た部位は、次の装着まで休ませます
  • 同じ部位ばかりを使わず、機種が指定する範囲内で場所を変える
  • かゆみや赤みが強い、広がる、水ぶくれやじんましんが出るときは、そのまま使い続けずに主治医やメーカーの相談窓口に相談する
  • 貼り直しの頻度、テープを併用できるかどうかは機種ごとに異なるため、取扱説明書で確認する

よくある質問

CGMとSMBG(自己血糖測定)の違いは何ですか?

SMBGは指先採血で瞬間的な血糖値を測定しますが、CGMは皮下組織間液のグルコース濃度を継続的に測定し、24時間の血糖変動を把握できます。CGMは低血糖・高血糖の検出に優れ、血糖トレンドの確認が可能です。

CGMは保険適用ですか?

一定の要件(インスリン療法実施中など)を満たす場合、CGMは保険適用となります。FreeStyleリブレ2、Dexcom G7、Medtronic Guardian 4などのデバイスが対象です。

CGMのセンサーはどのくらい持ちますか?

デバイスによって異なります。FreeStyleリブレ2は14日間、Dexcom G7は10日間、Medtronic Guardian 4は7日間が一般的なセンサー寿命です。

CGMの測定値は正確ですか?

CGMは皮下組織間液のグルコースを測定するため、血糖値とは数分〜15分のタイムラグがあります。血糖値が急激に変化している場合、CGM値と血糖値に差が生じることがあります。重要な判断時には指先採血での確認を推奨します。

CGMは痛みますか?

CGMセンサーの装着時には専用のインサーターを使用しますが、指先採血に比べて痛みは少ないとされています。センサー装着後も違和感はあるものの、日常生活に支障をきたすことは稀です。

CGMのセンサーが服の下で目立ちます。人に気づかれないか気になります。

センサーを隠すための特別な服装は必要ありません。袖のある服や上着で自然に隠れることが多く、装着部位も機種が指定する範囲の中から選べます。どこまで周囲に伝えるかは自分で決めてよいことです。隠すためのテープやカバーは、機種ごとに使える物と使えない物があるため、取扱説明書とメーカーの案内を確認してください。

装着したまま入浴やプールに入れますか?

多くの機種は防水性能を持ちますが、対応する時間や深さの条件は機種ごとに異なります。入浴・プール・サウナ・海水浴の可否と条件は、取扱説明書で確認してください。装着部を強くこすらないこと、長時間の浸水を避けることが一般的な注意点です。

装着部位にかゆみや赤みが出ます。どうすればよいですか?

貼る前に皮膚を清潔で乾燥した状態にし、剥がすときはゆっくり行うことで負担を減らせます。同じ部位を続けて使わず、機種が指定する範囲内で場所を変えることも大切です。かゆみや赤みが強いとき、広がるとき、水ぶくれが出るときは、そのまま使い続けずに主治医やメーカーの相談窓口に連絡してください。

夜中に血糖値が低く表示されてアラームが鳴ります。なぜでしょうか?

就寝中にセンサー部を下にして圧迫すると、実際の血糖より低い値が表示されることがあります(圧迫による見かけの低下)。体位を変えると戻ることが多いものの、実際の低血糖と見かけの低下は表示だけでは区別できません。症状があるときは指先採血で確認し、繰り返す場合は主治医に相談してください。

夜中にアラームで何度も起きます。アラームを切ってもよいですか?

低血糖アラームは夜間の低血糖に気づくために重要で、自己判断でオフにすると見逃すことにつながります。鳴りすぎて眠れない場合は、しきい値や種類を主治医と相談して調整します。睡眠が妨げられているという負担自体も、診察で伝えてください。

主な出典

  • 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」
  • Battelino T, et al. Clinical Targets for Continuous Glucose Monitoring Data Interpretation: Recommendations From the International Consensus on Time in Range. Diabetes Care 2019;42:1593-1603
  • 糖尿病情報センター(国立健康危機管理研究機構)
  • 各デバイスの電子添文・国内製品情報(アボット/デクスコムジャパン/日本メドトロニック、2026年10月確認)
  • 米国糖尿病学会(ADA)Standards of Care in Diabetes—2024 Section 7 Diabetes Technology(Diabetes Care 2024;47(Suppl. 1):S126–S144)

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最終更新:2026年10月16日