インスリン

ランタスXR注ソロスター 登場

09/06/2015

サノフィの新しい持効型インスリン、ランタスXR注ソロスターが登場する。

2015年8月31日薬価収載。ランタスXR注ソロスター450U 3,102円
9月7日発売。
その名の通りランタスの改良版であるGlargine U300のことである。

Glargine U300は従来のGlargineより低血糖リスクが低く、太りにくい特長がある。XRとはeXtended Releaseの略で「徐放性」の意味である。海外名はToujeoである。

ランタスXR実薬

ランタスの新旧比較

ランタスXRは薄緑色

小さい!ランタスXR

ランタスXR注ソロスター、製造販売承認取得

製造販売承認取得

ランタスXRソロスターは緑色を基調としている

ランタスXRソロスターの基調は緑色

ランタスXRの米国名はToujeo

米国ではToujeoで発売

ランタスXR注ソロスターのデモペン450単位入り。

ランタスXRのデモペン

ランタスXRとランタスのソロスター比較

インスリンの部分は従来のソロスターより細身

従来型ランタスソロスターとXRソロスター比較

XRは450単位まで、従来型は300単位まで

ランタスXR注ソロスター、製造販売承認取得がなされた。実際のペンの色はホワイトだそうである。デモペンを頂いたが、ご覧のとおり450単位入るようになっている。この写真ではわかりにくいが、従来のソロスターに比べてサイドがスリムになっておりスマートな印象だ。それもそのはず、450単位で1.5mLしか量がないからだ。同じ20単位を押し比べてみると、押し出す薬液が少ないぶん早く注入できる。従来品が10秒だったところ5秒で注入できるようになった。惜しいのは1年間は14日間処方制限があること。

ランタスXR、紫を基調としたビジュアル

ランタスXR、紫を基調としたビジュアル

Glargine U300のページでお示しした通り、ランタスXRはランタスと同等の血糖降下作用を持ちながら、夜間低血糖および24時間低血糖の発現率が低く、体重増加も少ない。ランタスXRは、ランタスのインスリングラルギン濃度が100単位/mLなのに対して、300単位/mLと3倍の濃度となっている。濃くてお得で良いと考えるべきか、通常のインスリンと濃度が違うことを危惧するべきか。評価に悩むところではある。

インスリングラルギンBSリリーが出てくるタイミングでのリリースである。当然、サノフィとしては大いなる危機感を持っていることだろう。これだけの大型商品が特許切れを迎えて、価格攻勢にさらされているのだ。

例えば、ランタス注ソロスター:2,525円のところ、インスリングラルギンBS注ミリオペン「リリー」の薬価は1,696円である。実に33%オフなのだ。

ランタスXR注ソロスターは、いわば内服薬でいうところのOD錠と同じだ。

特許切れによる損失をどの程度少なく出来るのかは未知数であるが、サノフィの懸命な努力は伝わってくる。

成分はGlargineであるから、ランタスのこれまでのエビデンスをそのまま引き継げる点が最大のアピールポイントだ。しかし、それはグラルギンのバイオシミラーも同じである。イーライリリーの場合、他のイーライリリーのインスリン製剤と同様に厳しい品質管理基準と製造プロセスで製造される。原薬は米国Indianapolisで製造され、フランスのFegersheim工場でカートリッジに充填される。原薬が充填されたカートリッジは、Indianapolisにあるデバイス工場にてミリオペンに装着され、兵庫県の西神工場に空輸される。リリーのインスリン製剤は全て上記の工程を経て製造されている。
インディアナポリス→フェガシャイム→各国の工場という流れである

こうなってくると、イーライリリーのグラルギンバイオシミラーにどうしても期待してしまうのである。糖尿病患者が待望のグラルギンのバイオシミラー。

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