シックデイルール|1型糖尿病の発熱・嘔吐時の対応とインスリン調整



シックデイルールとは

シックデイルールとは、1型糖尿病の方が発熱・嘔吐・下痢などの体調不良(シックデイ)になった際に、血糖コントロールを維持し糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)を予防するための対応ルールです。普段と異なる体調時には、血糖値が大きく変動するため、あらかじめルールを理解しておくことが重要です。

特に発熱や感染症があると、インスリンの必要性が通常より高まることが多いため、自己判断でインスリンを中止することは避ける必要があります。

シックデイ時の基本原則

  1. インスリンは決して自己中断しない – 食事が摂れなくてもインスリンは必要です。量の調整は主治医の指示に従ってください
  2. こまめな血糖測定 – 通常より頻回(2〜4時間おき)に測定する
  3. ケトン体の確認 – 血中または尿中ケトン体を測定する(目安:血中ケトンが0.6 mmol/L以上で注意)
  4. 十分な水分摂取 – 脱水を防ぐため、少しずつでも水分をとる。経口補水液やスポーツドリンク(糖質に注意)も有効
  5. 食事が摂れない場合の対応 – 炭水化物を含む飲料(ジュース・経腸栄養剤など)で糖質を補い、インスリン注射を継続する

症状別の対応目安

シックデイの症状別の対応目安
症状血糖値の傾向対応
軽度の発熱・鼻水やや上昇〜変動通常のインスリン継続+こまめな水分摂取
中等度の発熱・倦怠感上昇傾向インスリン量の増量が必要なことがある。主治医に相談
嘔吐・下痢低下〜上昇まで不安定インスリン中断は危険。少量の糖質補給+頻回測定
食事が全く摂れない高血糖になることが多い糖質を含む飲料で補給しながらインスリン継続

出典:日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」第20章、糖尿病情報センター(国立健康危機管理研究機構)「シックデイ」

受診の目安(医療機関への連絡をおすすめする状況)

  • 嘔吐が続き水分も摂れない
  • 血中ケトン体が1.5 mmol/L以上に上昇
  • 血糖値が350 mg/dL以上でコントロールできない
  • 意識がぼんやりする・いつもと様子が違う
  • 24時間以上症状が改善しない
  • インスリン注射の調整について判断に迷う

これらの症状がある場合は、かかりつけ医に早めにご連絡いただくことをおすすめします。連絡先が不明な場合は、お近くの医療機関にお問い合わせください。

シックデイキットの準備

日頃からシックデイに備えて以下のものを準備しておくと安心です:

  • 予備のインスリン製剤
  • 血糖測定器と測定センサーの余剰分
  • 血中ケトン測定器(可能な場合)
  • 経口補水液(OS-1など)
  • 炭水化物を含む飲料やゼリー飲料
  • かかりつけ医・救急医療機関の連絡先一覧
  • 普段服用中の薬剤一覧(お薬手帳)

よくある質問

シックデイでもインスリンを打つべきですか?

はい。食事が摂れていなくても、体がストレス状態にあるためインスリンは必要です。自己判断で中止するとケトアシドーシスのリスクが高まります。量の調整については主治医の指示に従ってください。

血糖値が低いのにインスリンを打っても大丈夫ですか?

シックデイで血糖値が低い場合でも、体内ではケトン体が上昇している可能性があるため、状況によってはインスリンが必要です。まずは少量の糖質を補給してから、主治医の指示に従ってインスリンを調整することが推奨されます。

どのくらいの頻度で血糖を測ればよいですか?

シックデイ中は2〜4時間ごとの測定が目安です。夜間も含めて定期的に測定し、ケトン体も併せて確認することをおすすめします。

子供の1型糖尿病の場合、シックデイルールは変わりますか?

基本的な考え方は同じですが、子供は症状の変化が急激なことがあるため、より早めの対応と頻回の測定が推奨されます。保護者の方はあらかじめ主治医とシックデイ時の対応計画を作成しておくことをおすすめします。

→ 糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)について詳しく見る

主な出典

  • 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」第20章 糖尿病における急性代謝失調・シックデイ
  • 日本糖尿病学会・日本小児内分泌学会「小児・思春期糖尿病コンセンサス・ガイドライン2024」9章 シックデイ・外科手術への注意
  • 糖尿病情報センター(国立健康危機管理研究機構)「シックデイ」

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