SGLT2

SGLT2阻害薬

09/12/2009

SGLT2阻害薬

エンパグリフロジン

エンパグリフロジン

インクレチン関連薬のリリースが相次いでいるが、次なる糖尿病治療のターゲットとして有望なものにSGLT2阻害薬がある。

遠位尿細管に分布するSGLT2

インスリンに依存せずに血糖値を下げることができるナトリウム/グルコース共役輸送担体(SGLT)阻害作用をもつ新しい糖尿病治療薬である。ブドウ糖は、ナトリウムとグルコースを体内に取り込む輸送担体であるSGLTなどによって細胞内に取り込まれ、ナトリウム非依存性グルコース輸送 体(GLUT)を介して血液中に取り込まれる。サブタイプとして、小腸や腎臓の近位尿細管に分布するSGLT1、腎臓の遠位尿細管に分布するSGLT2が 知られている。

SGLT2を阻害して尿からのブドウ糖の排泄を促進する

腎糸球体で濾過された原尿には、血漿と同じ濃度のブドウ糖が含まれているが、それをナトリウムと共に尿細管細胞内に再吸収するのがSGLT2である。これによって尿糖閾値までブドウ糖が外に失われずに済む。その生理機序から、尿糖を増やせば血糖が減って、血糖が正常化すれば、膵でのインスリン分泌の 負担が軽くなり、糖毒性が取れる。こうしてSGLT2阻害剤の開発が進められてきた。糖毒性を改善することで、インスリン抵抗 性改善作用を示すことが認められており、糖尿病治療薬の新たなターゲットになっている。尿糖を増やしてしまえば血液中のブドウ糖は減る(=血糖値は下がる)という発想が大胆で面白い。糖毒性の解除が必要な症例には効果的かもしれない。インスリンを使って糖毒性を強制解除する必要もなくなるかもしれない。

先行するASP1941

経口SGLT2阻害剤では、国内で最も先行しているのがフェーズ3段階にあるアステラス製薬の「ASP1941」で、これに中外のCSG452(トホグリフロジン)や、 ブリストル・マイヤーズとアストラゼネカの「ダパグリフロジン」、日本ベーリンガーインゲルハイムの「BI10773」(エンパグリフロジン)などが続いており、中外では「代謝 や安全性などで差別化が進むだろう」と分析している。船橋市の糖尿病治療を変える可能性を秘めている。

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