1型糖尿病と睡眠|眠れない・夜中に目が覚めるときの考え方

インスリン治療を続けるなかで、「夜中に目が覚める」「血糖値が気になって寝つけない」という状態が続くことがあります。眠れない理由は気持ちの問題だけではなく、夜間の低血糖や高血糖、CGMのアラーム、そして睡眠不足そのものが血糖値を上げる悪循環まで、体と治療の両方が関わっています。

このページでは、1型糖尿病の睡眠で起こりやすいことを整理し、夜のパターンの見方と、診察で相談するタイミングをまとめました。

眠れなくなる理由はいくつかあります

ひとつの原因に決めつけず、思い当たるものを確認してみてください。

夜間の低血糖

眠っている間の低血糖は、汗・動悸・悪夢、翌朝の頭痛や強い疲労感として現れることがあります。気づかないまま朝を迎えることもあり、CGMや夜間の測定で見つかる場合もあります。夜中に目が覚める状態が続くときは、就寝前の血糖値や夜間の推移を持って主治医に相談してください。低い値への対応は低血糖の症状と対応で解説しています。

高血糖によるのどの渇き・頻尿

血糖値が高い状態が続くと、のどが渇いて水分をとる量が増え、尿量が増えて夜中にトイレに起きる回数が増えます。結果として睡眠が分断され、日中の眠気やだるさにつながります。

CGMのアラーム

CGMは夜間の低血糖の把握に役立つ一方、アラームで目が覚める回数が増えると眠りが浅くなります。アラームを切るのではなく、しきい値や種類を主治医と相談して調整します。装着の工夫はCGM(持続グルコースモニタリング)で解説しています。

血糖値への不安・考えごと

「今夜は低血糖になるのでは」「明日の朝はどうなるだろう」と考え始めると、寝つきが悪くなります。治療への負担が大きい時期には、こうした不安が強くなることがあります。負担の整理のしかたは1型糖尿病の疲れ(バーンアウト)でまとめています。

睡眠不足は血糖値を上げます(悪循環)

睡眠不足が続くと、インスリンの効きが悪くなり(インスリン抵抗性)、同じ食事でも血糖値が上がりやすくなることが知られています。食欲を調整するホルモンのバランスも変化し、食欲が増える方向に働きます。また、入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒などの不眠症状がある人は、糖尿病になるリスクが高いという報告もあります(厚生労働省 e-ヘルスネット)。「眠れないから血糖値が乱れ、血糖値が乱れるから眠れない」という悪循環に入りやすいため、睡眠の問題は治療の一部として相談する価値があります。

今夜から試せる工夫

  • 起床時刻をそろえる:休日も大きくずらさず、眠る時刻より起きる時刻を固定するほうが体内時計は整いやすくなります。
  • 朝の光を浴びる:起床後にカーテンを開け、できれば外の光を浴びます。
  • 就寝前のカフェインを控える:コーヒー・緑茶・エナジードリンクなどは就寝の数時間前までにします(感受性には個人差があります)。
  • 就寝前の飲酒を避ける:寝つきは一時的に良くなっても眠りは浅くなり、低血糖への気づきも遅れます。飲酒と低血糖の関係は主治医に確認してください。
  • 就寝直前の激しい運動を避ける:目が冴えることがあります。運動の時間帯は血糖値の動きと合わせて主治医に相談してください。
  • 就寝1〜2時間前にぬるめの入浴をする:体が温まってから下がる流れが寝つきを助けることがあります。
  • 寝室の環境を整える:光・音・室温を見直します。暗い画面でもスマートフォンは覚醒を招きます。
  • 低血糖への備えを整えてから眠る:補食やグルカゴンの準備を済ませておくと、不安が小さくなります。

記録で「夜のパターン」を見る

  • 就寝前・夜間・起床時の値と、目が覚めた回数と理由(アラーム、トイレ、汗、悪夢など)をメモします。
  • CGMの夜間のグラフで、下がり方と戻り方の形を確認します。
  • アラームが鳴った時刻と、そのときの対応を短く残します。
  • 日中の眠気、寝つくまでの時間、起床時の体調も一言添えます。
  • すべてを書き残す必要はありません。相談したい点に必要な項目だけに絞ります。

数日分そろえると、診察で「どの時間帯に何が起きているか」を具体的に相談できます。記録の負担そのものが大きいときは、項目を絞る方法を血糖測定器(SMBG)で解説しています。

いびきや日中の眠気が強いときは

大きないびき、睡眠中に呼吸が止まっていると言われたことがある、日中の眠気が強くて仕事や学業に支障がある、といった場合は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性があります。睡眠時無呼吸は血糖値を上げる方向に働き、治療によって血糖の状態が改善することもあります。気になる症状があるときは、診察で相談してください。検査が必要と判断された場合は、専門の医療機関での検査につながります。

診察室でそのまま使える質問文

  • 「夜中に目が覚めることが増えました。血糖値の動きと関係がありますか。」
  • 「CGMのアラームで夜に何度も起きます。設定を調整できますか。」
  • 「眠れない状態が続いています。治療の組み立てを変えられますか。」
  • 「いびきと日中の眠気が気になります。検査を受けたほうがよいですか。」
  • 「血糖値のことが気になって寝つけません。相談できる場所はありますか。」

よくある質問

血糖値が気になって眠れません。どうすればよいですか?

就寝前の血糖値と、補食・グルカゴンの準備を整えておくと、不安が小さくなることがあります。寝室の環境や就寝前のカフェイン・アルコール、スマートフォンの使用も寝つきに影響します。考えごとが止まらない状態が続くときは、その負担をそのまま診察で伝えてください。記録をもとに、測定や治療の組み立てを見直せる場合があります。

夜中に低血糖で目が覚めます。改善する方法はありますか?

夜中に汗や動悸で目が覚める、悪夢を見る、朝の頭痛や疲労感が強いといった場合は、夜間の低血糖が疑われます。就寝前の値、夜間に目が覚めた時刻、CGMのグラフを持って診察で相談してください。インスリンの量や種類、食事や運動のタイミングは主治医の指示で調整します。夜間の低血糖が続くと気づきにくい低血糖にもつながるため、様子を見ずに相談することが大切です。

CGMのアラームで何度も起きてしまいます。

アラームは夜間の低血糖に気づくために重要なので、自分だけで切る判断は避けてください。鳴りすぎて眠れないときは、しきい値や種類を主治医と相談して調整します。あわせて、装着部位を下にして寝ると圧迫によって実際より低い値が表示され、これがアラームの原因になることもあります。

睡眠不足は血糖値に影響しますか?

影響します。睡眠不足が続くとインスリンの効きが悪くなり、同じ食事でも血糖値が上がりやすくなることが知られています。食欲を調整するホルモンのバランスも変化します。逆に血糖の乱れが眠りを妨げることもあり、悪循環に入りやすい状態です。

朝の血糖値が高いのは、睡眠のせいでしょうか?

明け方から起床にかけては、ホルモンの影響で血糖値が上がりやすい時間帯です。加えて、睡眠不足や眠りの浅さも血糖値を押し上げます。夜間に下がりすぎて朝に上がる場合もあり、原因は表示だけでは分かりません。夜間から朝にかけてのCGMのグラフや測定記録を持って主治医に相談してください。

寝つきをよくするために飲酒してもよいですか?

アルコールは寝つきを一時的に良くすることがありますが、眠りは浅くなり、夜中に目が覚めやすくなります。また、アルコールは低血糖のリスクにも関わります。飲酒の量やタイミングについては、主治医に相談してください。

眠れない状態が続くときは、どこに相談すればよいですか?

まずは主治医に相談してください。血糖値の動きや治療の組み立て、アラームの設定など、医療の側から調整できる点があります。気持ちの負担が大きいときは、こころの相談窓口も利用できます。相談先は下記のページにまとめています。

主な出典

  • 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」
  • 米国糖尿病学会(ADA)Standards of Care in Diabetes—2024 Section 5(Diabetes Care 2024;47(Suppl 1):S77-S110)
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「睡眠と生活習慣病との深い関係」
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「睡眠時無呼吸症候群 / SAS」

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最終更新:2026年10月12日